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令和元年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2020-10-05

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  1. 福岡県議会 2020-10-05
    令和元年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2020-10-05


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和二年十月五日(月曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯栗原 渉委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  審査日程に従い、本日の議事を行います。  最初に、福祉労働部所管分の審査を行います。  まず、第一三二号議案「令和元年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。塩川福祉労働部長。 2 ◯塩川福祉労働部長 おはようございます。令和元年度一般会計歳出決算のうち福祉労働部所管分について御説明申し上げます。  お手元の歳入歳出決算概要説明書の七十九ページをお開き願います。  歳出五款生活労働費でございます。生活労働費の決算額は、計欄にありますとおり、一千五百六十六億五千万円余となっております。  その内訳でございますが、二項福祉企画費につきましては、支出済額の計欄にありますとおり、四十億八千六百万円余でございます。下の八十ページに移りまして、主なものは、福岡県総合福祉施設、いわゆるクローバープラザの運営費、民生委員の活動経費等でございます。不用額の主な理由は、二目の災害救助費等の執行残によるものでございます。  三項児童家庭費の決算額は五百五十億六千九百万円余でございます。翌年度繰越しを行っておりますのは、保育対策等促進費などにおける新型コロナウイルス感染症に関する国の緊急経済対策第二弾を活用した事業で、事業準備等に時間を要したことなどによるものでございます。  八十一ページをお願いいたします。主なものは、保育所や認定こども園小規模保育等に係る保育給付費の県負担金、児童手当の支給に係る県負担金などでございます。不用額の主な理由は、二目児童保護措置費等の執行残によるものでございます。  下の八十二ページをお願いいたします。  四項障がい者福祉費の決算額は四百七十七億三千七百万円余でございます。主なものは、障がいのある方の援護のための経費などでございます。翌年度に繰越しを行っておりますのは、障がい者福祉施設の整備に時間を要したことなどによるものでございます。不用額の主な理由は、三目の心身障がい児保護措置費等の執行残によるものでございます。  八十三ページをお願いいたします。  五項生活保護費の決算額は三百四十四億二千七百万円余でございます。主なものは、生活保護費支給経費等でございます。不用額の主な理由は、二目生活保護費等の執行残によるものでございます。  下の八十四ページをお願いいたします。  六項社会福祉費の決算額は百五億二千八百万円余でございます。主なものは、子供等に対する医療費の助成経費などでございます。不用額の主な理由は、四目人権啓発事業費等の執行残によるものでございます。  八十五ページをお願いいたします。  七項労働企画費の決算額は十四億二千二百万円余でございます。主なものは、若者、中高年齢者、子育て女性などの雇用の安定促進経費等でございます。不用額の主な理由は、一目の中小企業労働力確保対策費等の執行残によるものでございます。
     下の八十六ページをお願いいたします。  八項職業訓練費の決算額は三十億九千万円余でございます。主なものは、公共職業訓練の実施経費等でございます。不用額の主な理由は、二目職業訓練費等の執行残によるものでございます。  八十七ページをお願いいたします。  九項失業対策費の決算額は二億八千八百万円余でございます。主なものは、高齢者等の雇用の促進に要する経費等でございます。不用額の主な理由は、一目の中高年齢者等雇用促進費等の執行残によるものでございます。  以上が福祉労働部所管一般会計歳出決算の概要でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 3 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。松尾統章委員。 4 ◯松尾統章委員 おはようございます。自民党福岡県議団の松尾統章でございます。  時間もありませんので、早速、通告に従いまして質問に入りたいと思います。私は、福岡県における外国人材の受入れ、特にコロナ禍における外国人技能実習生の受入れについて、質問を行いたいと思います。  福岡県では、昨年十一月に、福岡県外国人材受入れに関する労働環境部会を設置し、外国人労働者の円滑、適正な受入れに向けた議論を進めてきたと承知しております。  最初に、この部会で取りまとめられました資料を基に、県内の外国人労働者の受入れ状況と、福岡県としての主な取組について説明を求めたいと思っております。  そこで委員長、執行部に事前に、労働環境部会で取りまとめられました在留資格別の取組について資料要求をお願いしておりますので、お取り計らいのほど、お願いしたいと思います。 5 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま松尾委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 6 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま松尾委員から要求がありました資料については提出できますか。上村労働政策課長。 7 ◯上村労働政策課長 直ちに提出いたします。 8 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 9 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 10 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、松尾委員、質疑を行ってください。 11 ◯松尾統章委員 それでは、この資料を基に説明をお願いしたいと思います。 12 ◯上村労働政策課長 本資料は、本年八月の労働環境部会で取りまとめた資料でございます。  資料の上部にございますとおり、本県の外国人労働者の数は、昨年十月末現在で五万二千五百三十人となっております。右側に主な在留資格別の数字を掲載しておりまして、例えば、技能実習が一万三千六百十一人などとなっております。  外国人材が適正に就労できる環境を整えるとの目的で、国や関係機関も含めて、各機関の役割や取組を整理したものが、その下の記載でございます。福岡県につきましては、一番下の枠でございますけれども、例えば、1)の外国人材を受け入れる企業向けの相談支援、2)の外国人労働者などからの相談への対応等を行うとともに、今後、3)のとおり、技能実習について、県内の監理団体等の実態や課題などの把握、5)のとおり、県内の外国人材受入事例の収集などを行っていくこととしております。 13 ◯松尾統章委員 今の説明の中で、技能実習について、今後、県が県内の監理団体の実態や課題などを把握するとのことでありました。技能実習に送り出す国に選んでもらえるということで、そうした選んでもらえる福岡県をつくる、あるいは技能実習の卒業生が母国へ帰った後も、福岡県はよかったと思ってもらえるような環境をつくっていく、そうした中長期的な目線からも、この実態把握は大事なことだと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。  さて、足元の最大の課題は新型コロナウイルス感染症でございます。技能実習の関係でも様々な影響が出ているわけでありますが、実習を終えた技能実習生が帰国できない、あるいは、新たに実習を予定している技能実習生が入ってこられず、収穫予定だった野菜を数トン廃棄したといった報道もございました。  そうした中、国際的な人の往来については状況が少しずつ変化してきております。国において、成田など限られた空港での検査、入国後十四日間の公共交通機関不使用及び自宅や宿泊施設の待機等のルールの下で、双方向の往来を再開するスキームが開始されている。ベトナムやタイは七月二十九日から、マレーシア、ミャンマーなどは九月八日から開始されております。  こうした中で、北海道では、成田、羽田などに外国人技能実習生が入国した際の十四日間の待機に際して、受入れ企業が負担する技能実習の滞在経費を支援する事業を新規実施するといったことをお聞きしました。  そこで、福岡県として、北海道のこの事業について把握をしているのか。把握していれば、その概要について説明をお願いしたいと思います。 14 ◯上村労働政策課長 本年九月八日に北海道庁から発表された新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策第五弾の中に、海外人材確保緊急支援モデル事業というものがございます。北海道庁が公表している資料によりますと、外国人技能実習生などが入国後に要請される十四日間の待機に際して、受入れ企業が負担する経費を支援するという趣旨の事業でありまして、技能実習、特定技能を受け入れる北海道内の企業を対象に、入国した者の宿泊にかかった経費を一泊一万円上限で十四日間分補助するという内容になっております。 15 ◯松尾統章委員 福岡県内のそうした受入れ企業においても、早急に技能実習生を受け入れたいという企業があると思います。その際、この十四日間ルールによるコストは受入れ企業にとっては一定のハードルになると思われるわけであります。コロナの状況下でも、福岡県内の受入れ企業がスムーズかつ適正に技能実習生の受入れができるようにするためにも、コロナの状況下において、一時的にかかるコストを支援するというのは一定の意義があると考えられます。  県内で技能実習生を受け入れる企業への支援ということで、北海道の事業のような取組を福岡でも行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。 16 ◯上村労働政策課長 国際的な人の往来の再開に当たりまして、国の水際対策として、空港での検査に加えて十四日間の公共交通機関不使用及び自宅や宿泊施設などでの待機が必要というルールになっていることから、技能実習生を受け入れる県内企業にとっては、通常発生しないコストが今回のコロナの影響で発生することは事実であると承知をしております。  また、こうした事情の中でも、県内の受入れ企業がルールに基づいて適正に技能実習生を受け入れることが重要であると考えられます。  北海道の例も参考に、県として今後どのような対応ができるのか検討していきたいと思います。 17 ◯松尾統章委員 技能実習は労働力需要の調整の手段としては行われてはならないというのが技能実習法のルールであります。それが大前提ではありますけれども、県内の受入れ企業は、なかなか国内の労働力が入ってきてくれない環境の中で、技能実習法のルールの下で実習生へ人材育成の機会を提供し、また、結果として、そうした活動がその企業の生産活動を支えているというのが実態であると思います。  受入れ企業は、人材育成で国際貢献をしつつ、懸命に地域の経済を支えているとも言えます。また、五年後、十年後も、技能実習生の送り出し国から、福岡は実習する場として、働く場として魅力的だと思ってもらえるかどうかは、こういう危機のときに適正な受入れがスムーズにできるかどうかも大きな要素になると思います。  こういう時期だからこそ、県内の受入れ企業に対して県が一定の支援をしていくというのは、冒頭に触れた県の労働環境部会が目指す方向性とも一致するのではないかと私は思います。  そこで、北海道の事業を踏まえ、福岡県でも具体的な支援の実施に向けて、ぜひ検討を進めてほしいと私は思うんですが、福祉労働部長の考えをお伺いしたいと思います。 18 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 19 ◯塩川福祉労働部長 県内の受入れ企業は、委員御指摘のとおり、技能実習法のルールの下、人材育成で国際貢献をしつつ、結果として、そうした活動により企業の生産活動を維持しているものと認識しております。  そのため、技能実習の受入れが今後滞りますと、県内の受入れ企業の生産活動に支障が生じる可能性があると考えられます。  また、こうした県内の受入れ企業にとりましては、十四日間の待機費用の負担は非常に深刻な問題であると受け止めておりまして、このような企業への支援の必要性を認識しております。  北海道の例も参考にし、県として今後どのような対応ができるのか検討してまいります。 20 ◯松尾統章委員 ただいま塩川部長からも、検討していきたいと。また、必要性についても触れられたわけであります。  そこで、これは十二月補正予算での対応も含めて、早急に進めてもらう必要があると私自身は思っております。知事の考えも聞きたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをよろしくお願いしたいと思います。 21 ◯栗原 渉委員長 ただいま松尾委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十二日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 22 ◯松尾統章委員 終わります。(拍手) 23 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。新井富美子委員。 24 ◯新井富美子委員 おはようございます。民主県政クラブ県議団の新井でございます。  福岡県下の部落差別解消に向けた取組について、質問をさせていただきます。  県ではこれまで、部落差別の解消に向け取り組んできたわけですけれども、平成三十一年に福岡県部落差別解消の推進に関する条例を施行しました。改めて、この条例の制定の意義についてお伺いいたします。 25 ◯栗原 渉委員長 中川人権・同和対策局調整課長。 26 ◯中川人権同和対策局調整課長 県条例では、部落差別の解消に向け、基本理念や県の責務を定めております。現在もなお部落差別があるということ、それから部落差別は許されないものである、この認識の下に、これを解消することが重要な課題であると改めて明らかにしたことに意義があると考えております。 27 ◯新井富美子委員 言い換えますと、福岡県が今おっしゃったようなことを改めて強く宣言したということであろうかと思います。  福岡県下の六十市町村のうちのほとんどが、数幾つかの市町村を残して、部落差別解消という文言をつけた全ての人権に取り組むための条例を発していることから、福岡県では、心理的な差別に関する取組はかなり進んでいるかと思われます。  二点目に質問をいたします。この条例の中に、部落差別解消に向け、市町村との連携を図り施策を講じるとありますけれども、どのような連携を図っているのか具体的にお答えください。 28 ◯中川人権同和対策局調整課長 県では、毎年七月を同和問題啓発強調月間と定め、街頭啓発や講演会の開催などを通じ、県民の皆様の理解を深める取組を行っております。  この月間中、市町村と一緒に街頭啓発を行うほか、市町村の広報紙による啓発活動や、政令市と共同で製作したテレビCMの放送など、連携して啓発に取り組んでおります。  また、市町村が実施する研修会などに活用できる、県条例のリーフレットなどの啓発資料も提供しているところです。  さらに、市町村の啓発事業に対しまして、対象事業費の二分の一を県が補助する制度を設け、財政面での支援も行っております。 29 ◯新井富美子委員 お答えいただきました。いろいろな取組を行っておられるということですけれども、今年度六月の法務省での調査結果では、部落差別解消のための啓発の経験という事項で、テレビ、ラジオなどで見たことがないという方が五三%、パンフレットで読んだり見たりしたことがないという方は六二%、インターネットでの啓発を見たことないという方は八四%で、実態としては、啓発がまだまだ届いていないという状況にあるかと思われます。福岡県も同じような状況にあるのではないかと思われますので、引き続きしっかりと取り組むことをお願いいたします。  次は、隣保館についてちょっと質問させていただきます。  特別対策の一環で設立運営された隣保館ですが、今は様々な人権問題を解決するための人権啓発の拠点として果たす役割は大きいと考えております。  この隣保館の意義についてお伺いいたします。 30 ◯中川人権同和対策局調整課長 隣保館は、地域社会全体の中で福祉の向上や人権啓発、住民交流の拠点となる開かれたコミュニティセンターとして設置されております。こうしたことから、隣保館は、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための重要な施設であると考えております。 31 ◯新井富美子委員 お答えいただきました。関係者のお話では、建物の老朽化、あるいは職員の育成ですね。部落差別について言えば、部落差別の歴史や部落差別解消への取組等の歴史を踏まえた職員の育成が大きな課題であると伺っております。  こういうことを含めまして、県は隣保館に対してどのような支援を行っているのかお答えください。 32 ◯中川人権同和対策局調整課長 県では、隣保館活動が円滑に行われるよう、隣保館の設置主体である市町村に対し、その運営費の補助を行っております。また、老朽化している隣保館の改築や大規模修繕に係る整備費について補助を行っております。運営費補助、整備費補助、いずれも国が対象事業費の二分の一を、県が四分の一を負担し、合わせて四分の三を市町村へ助成しております。  なお、政令市、中核市は国が二分の一、市が二分の一の負担割合となっております。  また、相談への対応力の向上を図るため、隣保館職員を対象とした人権相談従事職員研修を実施しております。  さらに、隣保館が住民からの相談や支援業務に活用していただけるよう、福祉、健康、就労などに関する国や県の制度、施策を取りまとめ、隣保館に対して情報提供を行っているところです。特に、緊急性の高い新型コロナウイルス感染症に関する支援制度につきましては、新たな支援策が打ち出される都度、隣保館に対して情報を提供しています。  今後も、隣保館がそれぞれの地域でしっかり役割を果たせるよう、引き続き支援してまいります。 33 ◯新井富美子委員 お答えいただいた中でも、今回の新型コロナウイルス感染症に対する支援の情報ということにつきましては、直接市役所に行く前に隣保館で聞きたいという方が多くいらっしゃったことで、一部、役に立ったという御意見も伺っているところですので、緊急性に関しては、引き続き、支援、情報共有等よろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、要望なのですけれども、この部落差別に対する取組というのが、答申の中では、御承知のように、実態的差別、心理的差別、この二つが悪循環することによって部落差別が固定化していくということで、両方の解消に向けての取組というのが行われてきているわけですが、二〇〇二年以降は、実態的差別、教育水準とか、そういったところに表れる差別に対してアプローチした特措法が終わって、それが一般施策に移行したわけです。  現在、心理的差別に関しては、我が国の法律も、福岡県下の条例も取り組んでいる。ところが、実態的差別、生活の実態についての取組というのは、一般施策に対して盛り込まれた中で、部落差別の中で改善があるのかないのかが見えないのが実情だと思います。  それで、一般的に皆様から聞くお願いでございますが、行政としてその取組が一括されても、当事者にとっては、例えば困窮の問題とかもそれぞれの背景がございますので、今後取り組まれるときには、例えば生活困窮に対してでしたら、一括ももちろん大事ですが、例えば当事者が自分で自分は同和の出身ですということを開示された場合は、その背景をきちんと理解して、適切な支援ができるような体制をぜひつくっていただいて、細やかに対応していただきたいと思います。  そのためにも、職員の育成等をよろしくお願い申し上げまして質問を終わらせていただきます。今後ともしっかりと取り組んでいただきますよう気長によろしくお願いいたします。  以上、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 34 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。吉田委員。 35 ◯吉田宣弘委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。  通告に従い、日常生活用具給付等事業について質問をさせていただきます。  日常生活用具給付等事業は、市町村が行う地域生活支援事業のうちで必須事業の一つとして規定され、障がい者などの日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与することなどによって福祉の増進に資することを目的とした事業であると承知しております。  そこでまず、冒頭、確認をさせていただきたいんですけれども、この事業の実施主体は市町村でございますが、県がどのように役割を果たしておられるかについてお尋ねをいたします。 36 ◯栗原 渉委員長 宮崎障がい福祉課長。 37 ◯宮崎障がい福祉課長 県では、障害者総合支援法に基づき、日常生活用具給付等事業の適正かつ円滑な実施のため、市町村に対する助言、情報提供などを行っております。また、当該事業による給付に要した経費を国、市町村とともに負担しています。 38 ◯吉田宣弘委員 県も財政的な負担があるということでございます。  あと一点、また基本的なことをお聞かせいただきたいと思いますけれども、この日常生活用具給付等事業において認められる用具の要件は、具体的にどのようなものであるかお教えください。また、事業の対象者についてもお願いいたします。 39 ◯宮崎障がい福祉課長 日常生活用具給付等事業の対象と認められるためには、まず、安全かつ容易に使用できるもので、実用性があるものであること。次に、日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、社会参加を促進するものであること。最後に、用具の製作や開発に当たって、障がいに関する専門的知識や技術を要し、一般に普及しているものではないもの。これら三つの要件を全て満たす必要があります。  事業の対象者は、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者のほか、政令に定める疾病に罹患している難病患者の方々も対象となります。 40 ◯吉田宣弘委員 いわゆる障がい者の皆様以外にも、難病を患われてる患者の方も、政令で定める範囲でこうして対象になっているということでございますので、その点について、これから質問を続けさせていただきたいと思います。  日常生活用具給付等事業の対象者の中に、今、答弁もございましたけれども、厚生労働省指定難病患者として、網膜色素変性症という病気がございます。この網膜色素変性症は、遺伝子変異が原因で、網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性する疾患で、初期には夜盲と視野狭窄を自覚し、老年に至って矯正視力約〇・一以下の社会的失明となることもあるとお聞きしております。本県でも、約八百人の方がいらっしゃるとお聞きしております。  このような網膜色素変性症の方を支援する暗所歩行機器として最近開発された、暗いところで見ることを支援する眼鏡、暗所視支援眼鏡というものがあって、価格が四十万程度で販売されているとお聞きしております。  私も実際にこの眼鏡を試して、網膜色素変性症の患者の皆様にもお話を伺ったところでございますけれども、そのお話によると、夜間の移動を諦めていたけれども、この眼鏡を装着すると、介護者がいなくてもスムーズに行えることが分かったと。ただ、高過ぎてなかなか購入が難しいというお話をお聞きしたところでございます。  九州では天草市が、夜盲症を抱える市民の要望、意見等を基に検討した結果、昨年七月一日より、日常生活用具の給付対象とすることを、全国で初めて決定をしたところでございます。その後、大分県、宮崎県、そして全国へとこの動きは加速をしている状況です。  購入費を支援するため、日常生活用具給付等事業の対象にこの眼鏡を追加することについて、本県の認識を伺いたいと思います。 41 ◯宮崎障がい福祉課長 先ほど申し上げました三つの要件を全て満たす用具については、事業の実施主体である市町村において、それぞれの地域におけるニーズや実情などを検討した上で、対象に追加するかどうかを判断するものであると考えております。 42 ◯吉田宣弘委員 あくまで市町村の判断が前提になろうかということは分かります。
     続きまして、この暗所視、暗いところで見ることを支援する眼鏡が話題になったのは、暗い場所で物が見えにくくなる症状がある網膜色素変性症、この病気を抱えながらも、箱根駅伝に出場した二人の選手が、熊本県網膜色素変性症協会から暗所視支援眼鏡を贈呈されて、早朝や夜間に僅かな段差でつまずくなどした経験があるこの二人の選手が、この眼鏡を装着することによって、視野、視界が大きく変わって、物がはっきり見えるようになって、安心して歩けるようになったというニュースが報道されて、私も拝見させていただいたところでございます。  暗い場所でも明るく見えるようにするこの眼鏡が、日常生活用具の給付の先ほど課長が答弁された要件を満たしていることは、私は全国の動きから見ても明らかであろうと思っております。  その意味において、この日常生活用具給付等事業の対象として、県内市町村にしっかりこの件を周知することを求めたいと思いますけれども、御認識を伺いたいと思います。 43 ◯宮崎障がい福祉課長 暗所視支援眼鏡につきましては、一昨年開発されたばかりであることから、市町村において、まだ十分な情報を得ていないと考えております。このため、県内の市町村に対しまして説明会などの場を活用して、給付事業の対象としている市町村の事例などについて周知を図ってまいります。 44 ◯吉田宣弘委員 しっかり取り組んでいただきますようお願いいたします。  最後に、本県においても、この暗所視支援眼鏡が日常生活用具給付事業の対象となることは、網膜色素変性症の患者の皆様にとっては大変な朗報になることであると私は思っております。  最後に、部長の見解をお聞きしたいと思います。 45 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 46 ◯塩川福祉労働部長 暗所視支援眼鏡は、小型カメラで捉えた光を増幅いたしまして、対象物の色彩を自然な形に再現した上で目の前のディスプレーに投影するという機能を有しておりまして、網膜色素変性症の患者の皆さんの生活の質の向上に大きく寄与する可能性があると考えております。  このため、市町村に対しまして、この眼鏡の機能や特性などの詳細な情報をしっかりと周知してまいりたいと考えております。 47 ◯吉田宣弘委員 終わります。(拍手) 48 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。安部弘彦委員。 49 ◯安部弘彦委員 緑友会の安部弘彦でございます。  通告書に従いまして、子ども食堂についてお尋ねをしてまいります。  事前に福岡県内の子ども食堂について資料をお願いしておりますので、委員長、お取り計らいのほどお願いいたします。 50 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま安部委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 51 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま安部委員から要求がありました資料については提出できますか。余語保護・援護課長。 52 ◯余語保護・援護課長 直ちに提出いたします。 53 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 54 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 55 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、安部委員、質疑を行ってください。 56 ◯安部弘彦委員 それでは、今、配付をいただきました福岡県内の各市町村における子ども食堂の現状についての資料の説明をお願いします。 57 ◯余語保護・援護課長 本資料でございますけれども、これは、北九州市が県内各市町村に対し、各市町村が把握している子ども食堂の箇所数を尋ね、その回答をまとめた資料となっております。  資料によりますと、県内では百七十四の子ども食堂が運営されていることが確認されております。最も多いのが福岡市の四十二、次に、北九州市の三十、大野城市の二十四となっております。 58 ◯安部弘彦委員 北九州市が調べた資料ということですけれども、県として子ども食堂の課題、例えば、来てほしい家庭の子供や親に来てもらうことが難しい、運営費の確保が難しい、運営スタッフの負担が非常に大きいなどの課題が指摘をされています。各自治体により子ども食堂の数が異なっていることと、その関連性についてどのような見解をお持ちかお示しをください。 59 ◯余語保護・援護課長 いわゆる子ども食堂ですけれども、特定非営利活動法人、一般社団法人や一般財団法人、また、地域の自治会、任意の組織など、様々な団体により運営されており、団体によってその運営方法や抱える課題も様々であると認識しております。  自治体ごとの子ども食堂の数が異なっていることにつきましては、その地域の居場所が必要な子供の人数でございますとか、放課後児童クラブなどの様々な子供の居場所の設置状況、子ども食堂運営の担い手の問題など様々な要因が考えられます。 60 ◯安部弘彦委員 内閣府や農林水産省が推進をしている子供の居場所づくりや食育という観点から、福岡県内で運営される子ども食堂に対する認識をお示しください。 61 ◯余語保護・援護課長 民間団体の自発的な活動により運営されております子ども食堂につきましては、本県が子供の貧困対策を推進していく中で、困難を抱える子供たちへの支援につながる子供の居場所として重要な役割を担っているものと考えております。  このような子ども食堂の活動の中では、地域と連携した食育の取組なども行われていると伺っており、こういった取組が子ども食堂の活動に対する地域の理解や協力の拡大に資するものと考えております。 62 ◯安部弘彦委員 それでは、子供の居場所や食育という観点から、単に子供だけに食事を提供する食堂ではなく、高齢者、市民を含めた、共食、いわゆる共に食べる場所としての子ども食堂についての見解を伺います。 63 ◯余語保護・援護課長 子ども食堂につきましては、困難を抱える子供たちへの支援を中心とするものをはじめといたしまして、高齢者や地域住民なども対象とした交流拠点とするものなど、その形態は多岐にわたっているものと認識をしております。  このように、子ども食堂の活動に高齢者や地域住民など様々な世代が関わることは、そうした方々の交流の場として期待されるのみならず、困難を抱える子供たちを含め、子供たちが地域の方々と交流するきっかけとなることが期待され、より多くの子供たちの支援に資するものと考えております。 64 ◯安部弘彦委員 食という観点を踏まえ、特に、社会の宝である子供たちを育成するという目的を持って、高齢者や地域住民を含めた子ども食堂を運営することについて、県としての枠組みや指針を示すべきではないかと考えておりますけれど、どのように考えていますか。 65 ◯余語保護・援護課長 民間団体等が自発的に活動されております子ども食堂につきましては、多様な活動としての広がりを見せており、いずれもそれぞれの地域において子供たちへの見守りや孤立からの援護など、子供の居場所として重要な役割を果たしているものと認識をしております。  内閣府におきましても、地域の実情やそれぞれの運営主体が持つ資源に応じて様々な形態の子ども食堂が運用されていることから、子ども食堂の定義は定められておりません。子ども食堂が、困難を抱えた子供たちを含め、子供たちが気軽に集まる居場所であるためには、運営主体の自主性や活動の多様性が尊重され、様々な形態により活動されていくことが重要だと認識しております。 66 ◯安部弘彦委員 食育、共食という観点を踏まえて、現状をしっかり掌握して、子供を育成する環境の格差があれば、これを是正するべきだと考えます。県としてリーダーシップを発揮して、子ども食堂の現状を適切に掌握して、支援の枠組みやスキームを明示するなど、予算措置も含めて、地域格差を是正すべきと考えますが、どのような考えをお持ちでしょうか。 67 ◯余語保護・援護課長 子供の居場所づくりの在り方につきましては、各地域における社会資源の状況などが異なりますけれども、その中で、子ども食堂もそれぞれの地域において大きな役割を果たしていると考えております。  県といたしましては、まずは県内の子ども食堂の取組状況の把握に努めるとともに、市町村や各団体の方々が抱える課題でございますとか、県としての子ども食堂への関わり方について、市町村や各団体の方々とも話し合いまして、子ども食堂の活動が継続的に進められるための必要な取組を検討してまいります。 68 ◯安部弘彦委員 取組を検討してまいるということでありますけれど、しっかりフォローをいただいて、コロナの影響もあると聞いておりますので、十分に現状把握、掌握をしていただいて、県としてのリーダーシップを発揮して、子ども食堂、子供の居場所づくり、そして食育などの支援の枠組み、それからスキームを構築いただいて、支援が実行できるようにしていただけるように要望して、質問を終わります。  以上です。ありがとうございました。(拍手) 69 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。中牟田伸二委員。 70 ◯中牟田伸二委員 自民党県議団の中牟田伸二でございます。  通告に従いまして、障がい者のテレワークの推進についてを質問させていただきます。  これまで多くの企業が新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、特に雇用は厳しい状況が続くと考えられ、障がい者雇用も例外ではありません。障がいのある方の雇用については、通常、企業において実習を行った上で採用を進めていくことが多いわけです。実習の受入れ中止をしている企業も多いと聞いています。心配されるところであります。  福岡県の障がい者雇用の状況は現在どのようになっているのかお答えください。 71 ◯栗原 渉委員長 田島新雇用開発課長。 72 ◯田島新雇用開発課長 令和元年六月一日現在、本県の民間企業における雇用障がい者数は、一万七千八百四十二人と過去最高を更新しております。また、障がい者雇用率は二・一二%と年々上昇しており、法定雇用率の二・二%には達していないものの、全国平均の二・一一%は上回っております。  しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、求人数の減少や企業での実習の受入れ中止などに伴い、県内十三か所の障害者就業・生活支援センターにおける就職者も、昨年四月から八月までの実績であります三百五十名が、今年は三百五名となり、約一割減少しております。 73 ◯中牟田伸二委員 コロナ禍において、基礎疾患を抱える障がいのある方にとっては、テレワークというのは有効な働き方であり、これまで以上に加速して進めていく必要があると考えますが、まだ十分に働く場所がありません。  障がいのある方がテレワークで働く場の確保のために、これまで県はどのような施策を行ってきたのかお答えください。 74 ◯田島新雇用開発課長 県では、これまで県内企業や就労支援事業所等に対し、テレワークによる障がい者雇用の理解促進を図るためのセミナーを開催し、延べ六百名以上の方に参加いただきました。  また、県内企業での導入促進を図るためのモデル事業に取り組みまして、四社でテレワークによる障がい者雇用を実現いたしました。  さらに、今年度からは、全国に先駆けて障がい者のテレワークオフィスを開設して、企業への利用を促すとともに、新たにテレワークの求人開拓を行い、ウェブ上で合同会社説明会を開催するなど、テレワークで働く場の確保に努めております。 75 ◯中牟田伸二委員 確かに、テレワークによる障がい者雇用については、全国に先駆けて、福岡県は様々な取組をしているわけです。その結果、障がいのある方にとっては職業選択の幅が広がり、これまで働くことができなかった方も働くことができるようになったという喜びの声も聞こえております。  福岡県での取組により、テレワークによる障がい者雇用はどれぐらい進んだのか、お答えください。 76 ◯田島新雇用開発課長 これまでの取組により、テレワークでなければ働くことができなかった約三十名の障がいのある方の雇用が実現しました。これに加えまして、障がい者テレワークオフィスでは、十社募集したところ、現在九社の利用申込みがあるなど、テレワークによる障がい者雇用は着実に進んでおります。  しかし、まだテレワークで働く場の確保は十分とは言えず、さらなる取組の強化が必要だと考えております。 77 ◯中牟田伸二委員 今後、さらなる取組の強化が必要であるということであります。  新たな企業がテレワークによる障がい者雇用を始めるに当たって、どのような支援をしているのかお答えください。 78 ◯田島新雇用開発課長 テレワークに活用できるITツールや労務管理の情報、助成金制度の活用方法等、企業が円滑にテレワークを導入できるよう、相談窓口を設置して対応しております。  また、県内企業の参考となるよう、テレワーク導入のノウハウや実例を取りまとめた報告書を作成するとともに、モデル企業をパネリストとしたパネルディスカッションを開催いたしました。  さらに、障がい者テレワークオフィスでは、利用企業に対し、テレワークに適した業務の切り出しやマッチング等を専門家が支援しております。 79 ◯中牟田伸二委員 引き続き、テレワークによる障がい者雇用を進めるため、企業に対してきめの細かい支援をしっかりと実施してほしいと思います。  一方、障がいのある求職者も、テレワークでの実務経験がない方が多く、働く上で不安も大きいわけです。テレワークのための実務訓練が必要であると思います。九月補正で、IT技術者の育成に係る事業を実施すると聞いていますが、どのような内容なのかお答えください。 80 ◯田島新雇用開発課長 テレワークのための訓練は、企業及び障がいのある方双方にとりまして重要でございます。  このため県では、障がいのある方がテレワークの基礎的な訓練と実務を三か月間経験できるIT技術者育成事業を実施いたします。  この事業は、企業にとっても即戦力としての人材確保が容易になるものであり、これによりテレワークによる障がい者雇用の促進を図ってまいります。 81 ◯中牟田伸二委員 事業が企業と障がいのある求職者双方に有効であることは分かりました。  しかし、テレワークによる訓練や実務経験の後、就職につなげていくことこそが必要であります。どのように、事業実績を企業へアピールし、就職につなげていくか、どういう予定なのかお答えいただきたいと思います。 82 ◯田島新雇用開発課長 県では、障がいのある方向けの職業紹介事業を実施しております。その事業の一環として、テレワークによる障がい者雇用を検討している企業向けに、訓練に参加した求職者の成果発表やIT技術者育成事業の報告を行うセミナーをウェブ形式で開催することとしております。これにより企業と障がいのある方のマッチングを行い、就職に結びつけていきたいと考えております。 83 ◯中牟田伸二委員 説明いただいたIT技術者育成事業については、効果も高いと思います。今年度で終わらせるわけではなく、福岡モデルとして今後も継続的に実施して、多くのテレワーカーを育成し、様々な事業や関係団体等と連携の上、ぜひ就職に結びつけていっていただきたいと思います。  最後になりますが、テレワークによる障がい者雇用の取組をさらにしっかりと進めていただきたいと思いますので、部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。 84 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 85 ◯塩川福祉労働部長 障がいのある方にとりましては、働くことというのは、喜び、自信、そして社会に参加しているという充実感につながるものであります。県では、少しでも多くの方が自分に合った働き方が選択できるよう、テレワークによる障がい者雇用を進めてまいりました。特に、新型コロナウイルス感染症対策といたしましても、テレワークという働き方をこれまで以上に進めていく必要があると考えております。  今後も、啓発セミナーをはじめ、障がい者テレワークオフィスの利用促進等、テレワークによる障がい者雇用を進めるため、より一層努めてまいりたいと考えております。 86 ◯中牟田伸二委員 部長の決意のほどは理解いたしました。しかし、知事のお考えを直接お聞きしたいと思いますので、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。 87 ◯栗原 渉委員長 ただいま中牟田委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十二日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 88 ◯中牟田伸二委員 終わります。(拍手) 89 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。 90 ◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。  私は、出会いの機会を創出して、結婚される方が増えることこそが少子化対策の一丁目一番地との思いから、出会い・結婚応援事業について、二〇一四年六月議会からこれまで何度も問いただしてまいりました。今回が六回目の質問となります。  ここ数年は取組が広がっているという答弁をなされていますけれども、この新型コロナウイルスの影響により、人と人との距離を取ることが求められている中、若者の出会いの機会は大きく減少していると考えております。  今年度の出会いイベントの開催状況が一体どのようになっているのか、野田課長、上村課長、坪根課長、そして四番目の浦田課長から答弁を賜りたいと思います。 91 ◯栗原 渉委員長 浦田子育て支援課長。 92 ◯浦田子育て支援課長 県では、これまで出会い応援団体の登録拡大に取り組んできておりまして、令和二年三月末時点で千九百四団体に登録いただき、平成三十年三月末時点からは千二百四十五団体増加しております。  また、出会いイベントの参加者数も着実に増加しており、昨年度は四百四十四回のイベントに八千七百七十九人が参加し、任意ではございますが、四十九組の方から結婚の御報告をいただいております。  しかし、今年度、緊急事態宣言解除後、会場における感染防止対策や規模の目安など、新しい生活様式を踏まえた出会いイベントの開催基準を作成し、開催基準を全て満たすイベントのみ開催しております。四月から八月までに出会いイベントは五十八回開催されておりますが、昨年度の百三十二回からは五六%の減少、また、出会いイベントの参加者数は七百四十一人と、昨年度の二千四百十一人から七〇%近い減少となっております。 93 ◯板橋 聡委員 予想どおりかなり減少しております。県として、この事態、危機感を持って捉えるべきではないかと考えております。  その一方で、今年六月に内閣府が実施いたしました新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査によりますと、二十代で何と三七・二%、三十代で三〇・二%の方が、このコロナウイルスの渦中において、結婚への関心が高まったと回答されています。コロナ禍で人と人との関わりが制限される中、家族がいたから乗り越えられたと感じた方も多かったのではないでしょうか。また、今まで一人でも大丈夫と思っていた方が、やはり家族を持つということの大切さに気づかれたんじゃないかと、人々の気持ちに変化があったのではないかと考えます。  実は先日、女優の石原さとみさんが一般男性と結婚するという、我々にとって大変ショッキングなニュースがありました。石原さんは、コロナ禍の中、おうち時間を過ごし、テレワークをする男性の姿に引かれて結婚を意識されたそうです。ピンチはチャンスであります。  一方で、イベントの開催等々は、緩和されたとはいえ、これまでのような対面でのイベントに抵抗感を持つ人も多いと考えます。若者の結婚への関心が高まったせっかくの機会を捉えつつ、コロナ禍での出会いや結婚を福岡県としてどのように応援していくのか、考えをお聞かせください。 94 ◯浦田子育て支援課長 今年度の取組としては、まず、多くの若者に家族の絆や大切さを考えてもらい、結婚について前向きに捉えていただくきっかけづくりとするため、十一月の家族月間の開始に合わせ、新たに結婚応援キャンペーン週間を設けることとしております。  キャンペーンの取組としましては、結婚・家族をテーマにしたオリジナルのラジオ番組の制作、県の取組を紹介するラジオCMの集中配信、インスタグラムやツイッターを活用した動画配信、出会いイベントの集中開催などを行うこととしております。  また、適切な感染防止対策が講じられた出会いイベントの開催の後押しを図るため、出会い応援団体に対して衛生用品やアクリル板の購入経費など、出会いイベントの開催に必要な感染防止対策によって増加する費用を助成することとしております。
    95 ◯板橋 聡委員 令和二年六月の我が会派の代表質問において、コロナ禍における新しい出会いの方法として、オンラインを活用した出会いイベントを試行されているという答弁をされておりました。オンラインとなると、なかなか今まで我々にもなじみがないんですけれども、その評価と課題についてお聞かせ願えますか。 96 ◯浦田子育て支援課長 県では、五月からオンラインを活用した出会いイベントを施行し、七月から出会い応援団体にその取組を広げており、これまで計八回開催し、六十九名が参加されています。  参加者からは、外出せず自宅などから安心・安全に参加ができる、参加費、移動時間、交通費を削減できる、広域から参加できるなどの好評の声をいただいております。  一方で、課題としましては、対面式のイベントよりも参加者が少なくなる、ウェブ会議システムの操作方法がよく分からない、これまで出会いイベントを積極的に開催してきたが、オンラインイベントのノウハウがないため実施に踏み切れないなどの声が上げられております。 97 ◯板橋 聡委員 お見合い、合コン、結婚紹介所、マッチングサイトなど、出会いの形は時代とともに変遷しております。コロナの長期化が見込まれる中、オンラインを活用した出会いイベントは、県としてノウハウを蓄積すべきと考えます。  これまでの試行の結果、先ほど述べられたとおり幾つかの課題というのが明らかになっておりますけれども、このような問題について、課題について、どのように対応していくおつもりでしょうか。 98 ◯浦田子育て支援課長 オンラインを活用した出会いイベントを推進するため、イベント参加者に対する支援としまして、今年度から新たにウェブ会議システムの操作方法をはじめ、画面越しだからこそ気をつけないといけないポイントや、必要な会話力をサポートするセミナーを開催しております。  また、出会い応援団体に対する支援としましては、オンラインイベントの実施方法を紹介する動画の作成や、イベント補助オペレーターの配置などを行うこととしております。  これらの取組により、コロナ禍での出会いや結婚の応援を進めてまいります。 99 ◯板橋 聡委員 ワクチンや新薬の普及がまだまだ見通せず、新型コロナとの戦いは長期化が予想されております。人の行動制限がされておれば、新しい出会いの機会はおのずと困難な状況が続きます。新たな取組を今年度限りとしないためにも、また、補正予算に対するフォローとしても、令和三年度以降の一般予算において、出会い、結婚までつなげていく取組を盛り込んでいく必要があると考えますけれども、今後どのように取り組んでいかれますでしょうか。 100 ◯浦田子育て支援課長 引き続きコロナ禍の中でも出会いの場を提供するため、適切な感染防止対策が講じられた出会いイベントの開催をしっかり後押ししていくとともに、オンラインを活用した出会いイベントの拡大に力を入れてまいります。  また、出会い応援団体の中には、コロナを逆手に取った、マスクをしたままの出会いパーティーや、屋外での体験型イベントなど、様々な工夫を凝らしたイベントを開催している団体もございます。こうした取組を他の団体にも紹介し、横展開に取り組んでまいります。  加えて、今年度から新たに、出会い応援団体に結婚された方へのプレゼントや特典の提供を働きかけておりますが、今後こうした取組も活用しながら、出会いから結婚につながる支援についても検討してまいります。 101 ◯板橋 聡委員 コロナウイルスの感染拡大後、人との関わりを避けざるを得ないような状況になり、今の子供たちの状況を見ていると、じゃれあったりできなかったり、距離を置いて並んでいたり、給食ですら一方向を向いて隣の人と話してはいけないと。ちょっとこれ人間らしくないなと、そんな状況が教育の現場でも続いております。  恋愛や結婚という流れの中では、人と人との心身ともにの濃厚接触、これは必須でございます。かく言う私も、そういう経験を踏まえて生涯の伴侶を得ました。今ではすっかりソーシャルディスタンスな毎日でありますけれども。  いずれにせよ、小学生や中学生の時期は人と触れ合うことの大切さを育み、人格形成する大事な時期であります。ここに手を打たないと、人とのスキンシップを避け、将来的には結婚や家庭を育むことを避けていくように、そんな精神状態になることを大変危惧をしております。  出会い・結婚に取り組む子育て支援課として、この状況をどのように認識されていますでしょうか。また、将来の出会い・結婚を目指す人たちが減らないように、出会い・結婚につなげるためにも、子供たちの人との触れ合いや、スキンシップの大切さの育成について、教育庁と連携をした取組が必要と考えますけれども、考えをお示しください。 102 ◯浦田子育て支援課長 委員御指摘のとおり、小学生や中学生の時期は、人と触れ合うことの大切さを育み、人格を形成する大事な時期ですが、新型コロナウイルスの影響により、生活の中でも人と人と距離を取ることが求められ、人との触れ合いの機会が減少しており、子供の健やかな成長、ひいては将来の出会い・結婚につながる観点からも危機感を持っております。  今後、学校教育と連携して、家庭においてもスキンシップや仲間との外遊び、親子の触れ合いや絆づくりなどの大切さについて啓発していく必要があると考えており、教育庁と問題意識を共有した上で、連携した取組について検討してまいります。 103 ◯板橋 聡委員 部局間をまたがった連携でもあります。また、私も肝煎りでずっと質問させていただいている問題でございます。  最後に、部長から決意のほどをお聞かせ願えればと思います。 104 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 105 ◯塩川福祉労働部長 人生の早い段階から人との触れ合いの大切さを育んでいくということは、将来の出会い・結婚につなげていくためにも大切なことであると認識をしております。  コロナ禍の中で人との触れ合いの機会が減少している、このような時期だからこそ、家庭の中だけでなく様々な場所や機会で、子供同士の触れ合いや、親子のスキンシップの大切さを啓発していくことは非常に重要であると考えております。  今後、学校現場及び家庭での取組が相互に連携した効果的なものとなりますよう、その手法や内容につきまして、教育庁をはじめ関係部局としっかり協議を進めまして検討してまいります。 106 ◯板橋 聡委員 終わります。(拍手) 107 ◯栗原 渉委員長 この際、しばらく休憩します。再開は午後一時二十分をめどに放送をもってお知らせします。    午 後 零 時 十 二 分 休 憩    午 後 一 時 三 十 分 再 開 108 ◯栗原 渉委員長 ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、議事を進めます。  福祉労働部所管分について、ほかに質疑はありませんか。吉村悠委員。 109 ◯吉村 悠委員 自民党県議団の吉村です。午後一番の質問でありますので、目の覚めるような質問をしていきたいと思います。  今さら言うまでもないことかもしれませんけれども、少子化対策、喫緊の課題であります。昨年、福岡県の出生数を見ると三万九千七百五十四人、死亡数五万四千九十九人。もちろんこれだけで人口動態、測れるわけでもありませんが、実際、出生率も下がってきております。  そこで、地域における少子化対策について通告に従って質問をしていきたいと思います。市町村が行う少子化対策事業の財源として地域少子化対策重点推進交付金がありますけれども、どのような事業が対象となるのでしょうか。また、その利用実績はどのようになっているのでしょうか、御説明ください。 110 ◯栗原 渉委員長 浦田子育て支援課長。 111 ◯浦田子育て支援課長 地域少子化対策重点推進交付金は、地方自治体が地域の実情、課題に応じた少子化対策を推進するため、平成二十八年度に創設された交付金であり、結婚支援、子育て支援などの取組を行う地域少子化対策重点推進事業と、結婚に伴う新生活の経済的負担を支援する結婚新生活支援事業が対象となります。  本県では、令和元年度は十五市町、令和二年度は十九市町が、この交付金を活用して少子化対策の取組を実施しており、令和元年度の実施市町村数では全国第四位となっております。 112 ◯吉村 悠委員 今、交付金メニューの一つとして結婚新生活支援事業があるとのことでした。新聞報道によると、結婚さえしていただければ、平均して二人のお子さんが生まれる傾向があるということで、やはり結婚が大事なんだなということが分かると思います。  自民党県議団の独身議員を代表して、主にこの結婚新生活支援事業について今回聞かせていただきたいと思います。現行の事業内容はどのようなものでしょうか。御説明をお願いします。 113 ◯浦田子育て支援課長 結婚新生活支援事業は、新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップにかかる経費の一部を助成する事業です。具体的には、夫婦ともに婚姻日における年齢が三十四歳以下で、かつ夫婦の合計所得が三百四十万円未満の新婚世帯を対象に、婚姻に伴う住宅取得費用、または住宅賃借費用、引っ越し費用などについて、一世帯当たり三十万円を上限に、国二分の一、市町村二分の一で補助しております。 114 ◯吉村 悠委員 ただいまの事業、費用の補助についてのお話がありました。厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所の調査では、二十五歳から三十四歳の未婚者が独身でいる理由で、男性の約三割が結婚資金が足りないことを挙げているそうです。ですので、費用を補助していただくというのは本当に助かると思うんですけれども、県内市町村における結婚新生活支援事業の実績はどのようになっておりますか。 115 ◯浦田子育て支援課長 令和元年度は十市町が実施しており、補助世帯数は三十一世帯となっております。また、令和二年度は十二市町が実施しております。 116 ◯吉村 悠委員 三十一世帯というのは少ないのではないかと思うんですね。十二市町、これも福岡県下で十二市町というのは少ないと僕は思います。令和元年度の補助世帯数、繰り返しになりますけど、県全体で三十一世帯というのは実績としてとても少ないと思いますが、どう考えているのでしょうか。参考までに、昨年の婚姻数と併せてお答えいただければと思います。お願いします。 117 ◯浦田子育て支援課長 国の人口動態統計によりますと、令和元年の本県の婚姻件数は二万五千七百七十七組となっております。また、結婚新生活支援事業は、取り組んでいる市町村が主として人口規模の小さい三市七町だったこともあり、補助世帯数としては少ない状況にとどまっております。 118 ◯吉村 悠委員 やはり二万五千七百七十七分の三十一というのは、すごく少ない数字ですよ。  県全体で補助を受けられる世帯を増やすためには、取り組む市町村を増やすべきだと思いますけれども、今年度、十二市町村が結婚新生活支援事業を実施しているとのことでした。たった十二市町村です。なぜ、その限られた数にとどまっているのでしょうか。 119 ◯浦田子育て支援課長 実施しなかった市町村に聞き取りを行いましたところ、財源がなかったためとの回答が多くありました。この事業が開始された平成二十八年度は、補助率が国十分の十でしたが、平成二十九年度が国三分の二、平成三十年度以降は国二分の一と、年々下がっております。  また、先ほど申し上げましたとおり、対象者の年齢が、夫婦ともに婚姻日において三十四歳以下であること、夫婦の合計所得が三百四十万円未満であることから、補助対象が狭く、効果が限定されていることも挙げられます。 120 ◯吉村 悠委員 市町村によってそれぞれ事情があるということなんでしょうか。しかし、福岡県としても、住んでいる市町村によって取組に差がある。市町村をまたいだら、極端に言えば、隣の家が補助金を受けられる、自分が受けられないというような状況は問題があると思いますけれども、どのように認識しておられますか。 121 ◯浦田子育て支援課長 この事業は、結婚を希望する方にとって、その実現に向けた後押しとなることから、できるだけ多くの市町村に実施していただくことが望ましいと考えております。このため県では、これまで交付金の補助率の引上げ、対象者の年齢制限及び所得要件の緩和などを全国知事会及び本県としても要望してきたところです。 122 ◯吉村 悠委員 それが実ったということなのか、最近、ニュース報道、また新聞報道等でも、国が令和三年度の概算要求において、結婚新生活支援事業の支給金額の増額、対象者の年齢や所得などの要件緩和と、特にこれも大事ですけど、都道府県が主導するモデル事業を行うということでした。具体的な内容について説明をお願いします。 123 ◯浦田子育て支援課長 国は、今回の概算要求におきまして、支給金額を三十万円から六十万円に増額、対象者の年齢制限を三十四歳以下から三十九歳以下に緩和、世帯所得の上限を三百四十万円未満から四百万円未満に拡大の方針を示しました。  また、交付金の補助率につきましては、都道府県が主導するモデル事業に採択された場合は、補助率を国二分の一から三分の二に引き上げるとされております。  モデル事業として採択されるためには、都道府県が中心となりまして、実施市町村が拡大する取組について計画を策定し、事業拡大の方策等を議論するための協議会等を設置することなどが必要とされております。 124 ◯吉村 悠委員 今回の支給金額の増額や対象者の年齢、所得などの要件緩和は、一見、物すごくいいことだと思います。しかし、冒頭の質問で言われたように各市町村財源が苦しいわけです。その中で、支給金額が単純に六十万円に増額された場合、各市町村の負担は三十万の二分の一のときより多くなってしまいますよね。ですので、拡充はいいことなんですけれども、国の補助率もセットで引き上げなければ負担が増えるばかりです。  せっかくの制度の拡充を効果的に活用するためにも、今回新たに示されたモデル事業に手を挙げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 125 ◯浦田子育て支援課長 この取組を広げるためには市町村の財政負担を軽減することが重要であると考えております。今回新たに示されたモデル事業につきましては、詳細がまだ不明な点もございますが、活用について積極的に検討する必要があると考えております。 126 ◯吉村 悠委員 積極的に検討という言葉が出ましたので、ぜひともよろしくお願いします。  結婚新生活支援事業が拡充されていけば、取組は広がると思いますが、新婚世帯が居住市町村によって不利益を受けることがないよう、より一層進める必要があると考えています。当然、各市町村にこういう事業がありますよと、広げていくためのPRもどんどんますます必要になっていくでしょう。  県として未実施の市町村に対して、今より一層の働きかけを行うとともに、補助の上乗せ、そして補助世帯数の目標をつくるなどの施策も検討していく必要があるのではないかと思いますが、課長、どう思われますか。 127 ◯浦田子育て支援課長 県はこれまで市長会総会など様々な機会を捉え、市町村トップに対し少子化対策の意義、必要性について説明し、本交付金に係る事業の実施を働きかけてまいりました。加えて、県内市町村の交付金事業の事例集の配布、市町村担当者向けの説明会の開催、交付金の申請書類の作成サポートなどに取り組んできたところです。  今回の拡充につきましても、市町村に対して、国からの情報を速やかに提供し、様々な機会を捉えて、事業実施の働きかけを行うとともに、さらに積極的にサポートを行ってまいります。また、市町村と連携し、広報についても強化してまいります。  新たに示されたモデル事業の詳細につきましては、今後、情報収集を行い、市町村の意向を調査してまいりたいと思います。  なお、御提案のありました県独自の施策については、交付金の制度上、県が市町村負担分に補助を行うと国の補助が減額される仕組みとなっております。このため、そのほかにどのような施策が必要あるのか、他県の状況や市町村のニーズを把握しながら研究してまいります。 128 ◯吉村 悠委員 県独自の施策として、これからまだいろいろやらなくてはいけないことが残っていると思います。例えば、どれぐらいの収入であれば安心して結婚ができるのかといったことも調べていく必要がこれからあると思いますし、当然、他県の動向を、今言われたように、踏まえることも必ず必要な部分となっていきますので、どうかお願いいたします。  少子化対策ですけれども、国、県、市町村が連携して実施することで、一番効果を生むことができると私も考えております。国も要件緩和や新たなモデル事業を行う方針を示すなど、特に経済的な理由で結婚を諦めることがないよう、さらなる後押しを図っております。国の制度を最大限に活用することが重要です。  福岡県として、新婚世帯が居住市町村によって不利益を受けることがないよう、未実施の市町村への働きかけを進めていただくとともに、新たなモデル事業の実施についてもしっかりと検討していただきたいと考えますけれども、部長の決意をお願いします。 129 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 130 ◯塩川福祉労働部長 地域少子化対策重点推進交付金といいますのは、地方自治体が地域の実情、課題に応じた少子化対策を推進するために創設された交付金でございまして、市町村には、ぜひ積極的に活用いただきたいと考えております。  先ほど課長も申し上げましたが、本交付金の活用を広げるためには、市町村の財政負担の軽減は重要な課題であると考えております。今後も引き続き国に対し、交付金の補助率改善に向けた取組を要望してまいります。  国の予算におきまして、今回新たに示されましたモデル事業に係る制度の拡充が実現されました場合、若い世代の県民の結婚を促進する観点から、非常に大きな効果が期待できる施策になるのではないかと考えております。  今後、県内においてできる限り多くの市町村で取組が行われますよう、この事業に係る詳細な情報の収集、提供を行うとともに、モデル事業の実施につきましても、国や市町村と協議をし、積極的に検討してまいります。 131 ◯吉村 悠委員 部長からも積極的に検討していくという前向きな答弁をいただきました。  これも、すいません、繰り返しになりますけど、これから行われる市町村、国との協議の中でも、所得制限の引上げを行ってほしいとか、書類作業や手続が煩雑なのを簡略化してほしいだとか、まだまだいろいろな声が、行政として行うべき課題も出てくるんだと思います。しっかりと対応して、未婚の方々が、独身の方々が結婚しやすくなるような環境づくりに努めていただければと思います。よろしくお願いいたします。終わります。(拍手) 132 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。片岡誠二委員。 133 ◯片岡誠二委員 自民党県議団の片岡誠二でございます。  通告に従いまして、シルバー人材センターと七十歳現役応援センターについての質問をいたします。  少子高齢化が進展する中、健康で意欲と能力がある限り、年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現が求められております。五年前、平成二十七年の予算特別委員会においても、元気な高齢者が就業や社会参加により活躍する場を設けることが重要であるとの観点から質疑をいたしました。今回はその後の状況についてお伺いをいたします。  まず、高齢者の地域での活躍を支えるシルバー人材センターについてです。前回の質問でお尋ねいたしましたところ、平成二十六年度のシルバー人材センターの会員数は、その五年前と比較して一割程度減少しているとのことでありました。現在、県内のシルバー人材センターの会員数、また就業人員について、五年前と比較してどうなっているのかお答えを願います。 134 ◯栗原 渉委員長 田島新雇用開発課長。 135 ◯田島新雇用開発課長 令和元年度の県内のシルバー人材センターの会員数は二万四千六百六十六人、就業人員は延べ二百三十四万八千七百九十九人となっております。  平成二十六年度の会員数は二万五千七十五人、就業人員は延べ二百二十七万七千九百八十九人でございましたので、会員数は微減、僅かに減少しておりますが、就業人員は微増となっております。 136 ◯片岡誠二委員 次に、七十歳現役応援センターについてお伺いいたします。  七十歳現役応援センターは、平成二十四年度に開設以来、平成二十七年五月末までの三年間の進路決定者数が二千二百四十九名であったとのことでありました。その後の取組実績をお答え願います。 137 ◯田島新雇用開発課長 七十歳現役応援センターの平成二十七年度から令和元年度末までの五年間の進路決定者は七千六百二十名となっております。単年度で見てみますと、平成二十六年度の進路決定者数千四十二名が、令和元年度には千六百七十八名と、約一・六倍となっており、着実に増加しております。 138 ◯片岡誠二委員 さて、今回の質問で最もお聞きしたいところなんですけれども、シルバー人材センターで提供される仕事では、おおむね月十日以内、週二十時間以内、臨時的、短期的、また軽易な業務ということで制限されております。  現在、退職後の人生が長くなっておりますけれども、高齢者の方々も様々なニーズをお持ちです。もっと働きたい、フルタイムで働きたい、事務の仕事をしたい、もちろん安定した収入も欲しい。そのように多様なニーズがあり、元気な高齢者の方々にとって晩年の人生を充実したものにしていくため、この問題は、切実な問題であると私、考えております。  各市町村のシルバー人材センターでは、職域拡大などの努力をされているとは思いますが、多様なニーズに対しては、結果的に十分な対応はできていないのが現状かと思います。  また、一方では、七十歳現役応援センターは、本格的な就労、派遣、ボランティアの支援をしていると認識しております。先ほどの田島課長の回答の中で、七十歳現役応援センターの伸び率は約一・六倍となっており、着実に増加しておりますとのことでございましたけれども、果たして七十歳現役応援センターは、多くの高齢者のために多様な事業を展開し、高齢者の就労の場として機能し、受皿になっているのかどうなのか。現在、七十歳現役応援センターはシルバー人材センターにどのように関わっているのかお尋ねいたします。 139 ◯田島新雇用開発課長 七十歳現役応援センターでは、県内四か所のオフィスにシルバー人材センターの出張窓口を設けているほか、高齢者のためのしごと・ボランティア合同説明会におきましてシルバー人材センターの相談コーナーを設けております。  また、七十歳現役応援センターでは、相談に来られた方に様々な進路を提案する中で、選択肢の一つとして必ずシルバー人材センターの紹介をしているところであります。  さらに、高齢者の関心が高い健康測定会と併せて、シルバー人材センターと合同で就業相談会を実施しております。  今後とも、両者で連携して高齢者の社会参加の促進に取り組んでまいります。 140 ◯片岡誠二委員 ところで、現在、国では、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律、いわゆる高年齢者雇用安定法において、企業に六十五歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずることを義務づけております。  来年、令和三年四月には、改正高年齢者雇用安定法が施行されます。その改正の概要についてお伺いいたします。また、それを受けて本県の七十歳現役応援センターはどのように対応するのかお答えを願います。 141 ◯田島新雇用開発課長 改正高年齢者雇用安定法では、新たに六十五歳から七十歳までの雇用確保措置が努力義務となります。  具体的には、七十歳までの定年引上げ、それから、七十歳までの継続雇用制度の導入、定年廃止に加えまして、起業、フリーランス、社会貢献事業従事への支援など、企業が取り得る選択肢が拡大された上で、いずれかの措置を講ずることが求められます。  七十歳現役応援センターでは、年齢にかかわりなく、それぞれの意思と能力に応じて誰もが活躍できる社会の実現を目指し、これまでも改正法が求める七十歳までの定年引上げなどについて企業への働きかけなどを行ってまいりました。今後、センター職員を増員するとともに、新たにウェブ相談を開始するなど、七十歳現役社会の実現に向け、取組を一層強化してまいります。 142 ◯片岡誠二委員 本県は、国に先んじた取組として、先ほども言いましたけれども、平成二十四年にこの七十歳現役応援センターを立ち上げました。がしかし、まだまだその存在、認知度は、はっきり言って低いと思っております。一人でも多くの県民の方々にこの七十歳現役応援センターを知っていただくことが大事だと考えますが、どのような取組をなされているのかお伺いいたします。
    143 ◯田島新雇用開発課長 県の広報媒体である各戸配布の広報紙や、テレビ、ラジオを活用し、七十歳現役応援センターの合同説明会やセミナー等の情報発信を行っております。  また、商工会議所や商工会などの経済団体、市町村図書館、公民館等に七十歳現役応援センターについての情報発信を依頼し、御協力をいただいております。  さらに、地域のハローワークに出張相談窓口を設けるとともに、県内四地域でしごと・ボランティア合同説明会を開催し、七十歳現役応援センターの周知を広く図っております。  これに加えまして、市町村主催のイベント等への参加や、大型ショッピングセンターでの出張相談など、機会を捉え、積極的に地域に出向き、七十歳現役応援センターの周知に取り組んでまいります。 144 ◯片岡誠二委員 現下の社会情勢では、ただいま課長が説明された取組はできなかったと思われますが、このコロナ禍の状況の中で、どうされておられたのかお尋ねします。 145 ◯田島新雇用開発課長 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大した今年二月下旬から五月の間は、セミナーや合同会社説明会等を控えておりましたが、六月以降、新型コロナウイルス感染症対策を十分講じた上で、規模を縮小し、順次再開しております。  また、この間、来所できない高齢者の方のために、七十歳現役応援センターのホームページの内容を見直し、セミナーの資料や地域ごとの求人情報を新たに掲載し、情報発信を強化したところでございます。 146 ◯片岡誠二委員 本県の七十歳現役社会づくりへの取組は今後も極めて重要であると考えております。  最後に、シルバー人材センターと七十歳現役応援センター推進に当たり、部長の御決意をお伺いいたします。 147 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 148 ◯塩川福祉労働部長 委員御指摘のとおり、七十歳現役社会づくりの取組は今後も引き続き重要な事項でございます。働く意欲のある高齢者は増えてきております。七十歳現役社会の取組は、支えられる側とされる高齢者が支える側にもなる、我が国の新しい社会をつくる鍵となる取組の一つであると思っております。今後とも、七十歳現役応援センターを中心に、シルバー人材センターともしっかり連携し、多くの高齢者の方々に活躍いただけるよう全力で取り組み、七十歳現役社会の実現を目指してまいります。 149 ◯片岡誠二委員 終わります。(拍手) 150 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 151 ◯栗原 渉委員長 ないようですので、以上で松尾委員、中牟田委員の知事保留質疑を残しまして、第一三二号議案の質疑を終わります。  次に、第一三七号議案「令和元年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計決算」及び第一三八号議案「令和元年度福岡県災害救助基金特別会計決算」の二件について一括議題とし、まとめて説明を求めます。塩川福祉労働部長。 152 ◯塩川福祉労働部長 歳入歳出決算概要説明書の百七十七ページをお開き願います。  第一三七号議案、令和元年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。  この会計は、母子家庭、父子家庭及び寡婦の経済的自立と生活意欲の助長を図りますとともに、扶養しております児童の福祉の増進を図る、その双方を目的といたしまして、各種の資金の貸付けを行うものでございます。  まず、歳入でございます。収入済額は、計欄にありますとおり三億八千五百万円余、予算現額に対しまして五千百万円余の収入減となっております。その主な理由ですが、貸付金の元金償還額が見込みを下回ったことによるものでございます。また、収入未済額が三億一千百万円余となっておりますのは、納入義務者の経済的困窮などによるものでございます。  下の百七十八ページに移りまして、歳出でございます。決算額は一億五千三百万円余となっております。主なものは、母子家庭に対する各種資金の貸付費でございます。  一番下の不用額の主な理由ですが、貸付額が見込みを下回ったことによるものでございます。  以上が福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の決算の概要でございます。  引き続き、百七十九ページをお開き願います。  第一三八号議案、令和元年度福岡県災害救助基金特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。  この会計は、災害救助法に基づきまして災害救助を実施する際の財源とするために、あらかじめ基金を積み立てておくものでございます。  歳入でございます。収入済額、二百万円余となっております。内容は、基金の運用益でございます。  下の歳出でございます。決算額も同額の二百万円余でございます。内容は、基金の運用益を積み立てたものでございます。  以上が福祉労働部所管の特別会計決算の概要でございます。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 153 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 154 ◯栗原 渉委員長 質疑がないようですので、第一三七号議案外一件の質疑を終了し、福祉労働部所管分の審査を終わります。  次に、労働委員会事務局所管分の審査を行います。  第一三二号議案「令和元年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。武濤労働委員会事務局長。 155 ◯武濤労働委員会事務局長 それでは、労働委員会事務局所管分の決算につきまして御説明申し上げます。  歳入歳出決算概要説明書の八十九ページをお願いいたします。  五款生活労働費のうち労働委員会事務局所管の決算額は、十項労働委員会費で二億二千七百万円余でございます。これは労働委員会の運営等に要した経費でございます。  不用額を生じております主な理由は、報酬の執行残でございます。  説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 156 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 157 ◯栗原 渉委員長 質疑がないようですので、第一三二号議案の質疑を終了し、労働委員会事務局所管分の審査を終わります。  この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時十五分といたします。    午 後 二 時 四 分 休 憩    午 後 二 時 十 五 分 再 開 158 ◯栗原 渉委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  農林水産部所管分の審査を行います。  まず、第一三二号議案「令和元年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。鐘江農林水産部長。 159 ◯鐘江農林水産部長 農林水産部でございます。よろしくお願いいたします。  農林水産部所管の決算について御説明をいたします。  歳入歳出決算概要説明書の九十五ページをお開き願います。  第六款農林水産業費の決算額は六百二十二億七千百万円余となっております。  内容について御説明いたします。一項農林水産業企画費は、決算額九十一億三千三百万円余でございます。この主なものは、新規就農者対策や中山間地域農業の振興に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、県産農林水産物輸出促進事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額につきましては、次の九十六ページに参りまして、その主な理由は、農業大学校施設整備費の執行残でございます。  九十七ページをお願いいたします。二項農業費は、決算額百五億六千三百万円余でございます。この主なものは、施設・機械等の条件整備や農地中間管理機構事業に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、産地生産基盤パワーアップ事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、産地パワーアップ事業費の執行残でございます。  次の九十八ページをお願いいたします。三項畜産業費は、決算額十三億三千七百万円余でございます。この主なものは、家畜伝染病の予防対策や畜産施設等の整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、強い畜産業づくり対策事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、家畜伝染病予防事業費の執行残でございます。  次の九十九ページをお願いいたします。四項農地費は、決算額百七十二億七百万円余でございます。この主なものは、ため池整備等の農業・農村整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っておりますのは、農業・農村整備事業において地元調整に日時を要したこと等によるものでございます。不用額を生じております主な理由は、地すべり対策事業費の執行残でございます。  百ページをお願いいたします。五項林業費は、決算額百六十六億八千九百万円余でございます。この主なものは、森林整備、治山事業に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、治山事業、林道事業において地元調整に日時を要したこと等によるものでございます。不用額につきましては、次の百一ページに参りまして、その主な理由は災害関連緊急治山等事業費の執行残でございます。  次の百二ページをお願いいたします。六項水産業費は、決算額七十三億四千万円余でございます。この主なものは、沿岸漁場整備、漁港整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、漁港修築事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額につきましては、次の百三ページに移りまして、その理由は漁港修築事業費の執行残でございます。  百四ページをお願いいたします。第十一款災害復旧費の農林水産部所管の決算額は七十億三千三百万円余となっております。内容につきましては、一項農林水産施設災害復旧費は、決算額六十八億六百万円余でございます。これは、農地、農業用施設、林道等の災害復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、団体営耕地災害復旧事業において地元調整に日時を要したこと等によるものでございます。不用額につきましては、次の百五ページに参りまして、その主な理由は団体営耕地災害復旧事業費の執行残でございます。  その下の三項庁舎等災害復旧費は、決算額二億二千六百万円余でございます。この主なものは、平成三十年七月の西日本豪雨により被害を受けました農林業総合試験場の復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、農林業総合試験場の復旧工事におきまして地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額につきましては、百六ページに参りまして、その理由は事業費の確定に伴う執行残でございます。  以上で、農林水産部所管分一般会計の決算につきまして説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 160 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。  これより、歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。井上順吾委員。 161 ◯井上順吾委員 自民党県議団の井上順吾です。  今日は農林水産部の質疑、私と中牟田委員が質疑に入るわけですけど、今日、大野城市議団と春日市議団の抽せんに当たった市議が参っております。政策勉強のために来ております。というよりも、栗原渉委員長を見に来たんじゃないかなと思っております。  質問項目は四王寺県民の森創設五十周年に向けた取組についてであります。  まず、一つ紹介をしたいと思います。  今年は新型コロナウイルスの感染拡大や豪雨災害等、まさに国難とも呼べる状況に直面しています。歴史を振り返ってみますと、我が国ではこれまでも様々な国難に直面してきました。しかしながら、いにしえから先人たちは強い絆や知恵の結集によって、繰り返し迫りくる国難に立ち向かい、克服し、さらなる繁栄を築いてきました。  今からおよそ千四百年前、天智二年、西暦六六三年、倭国、当時の日本は白村江の戦いで大敗しました。戦いに敗れた倭国は、唐・新羅軍の来襲に備えるため、ここ大野城市一帯に水城や大野城を造り、国の守りを固めました。当時の倭国は、まさに国難に立ち向かったと言えるでしょう。先人たちは限られた資源の中で知恵と努力を結集して城を築き、守り抜き、新しい地域をつくってきたことは、今日の繁栄につながっていると思います。  どうぞ、この国難を乗り越え、人々の移動が自由になりました折には、いにしえの風を感じに、ぜひ大野城市へお越しください。大野城市長井本宗司。  これは月刊誌「東京と福岡」の今年、表紙に、日本遺産広域認定、この喜びの寄稿を井本市長が出しておられます。  それでは、質問に入りたいと思います。  大野城跡がある四王寺山には県が整備した唯一の県民の森が設置されていますが、まずはこの施設の概要について簡単に説明してください。 162 ◯栗原 渉委員長 古賀林業振興課長。 163 ◯古賀林業振興課長 四王寺県民の森は、福岡県立森林公園条例に基づき、自然に関する知識の普及、健康の増進、レクリエーション等の便宜を提供する施設として、昭和五十一年に設置された森林公園でございます。その区域面積は三百四十二ヘクタールであり、園内には、管理棟や展示館をはじめ芝生広場や遊歩道などを備えております。 164 ◯井上順吾委員 県民の森は、私の地元の大野城市、太宰府市、宇美町にまたがっており、今説明がありましたとおり、三百四十ヘクタールを超える広大な面積を有しておるわけであります。こうした広大な面積に及ぶ施設の管理を適切に運営していくためには、地元の市町の理解や協力が不可欠であると考えます。  そこで、地元の市町が連携するために、どういった取組が行われているかお答えください。 165 ◯古賀林業振興課長 県民の森につきましては、平成十八年度から指定管理者制度を導入し管理運営を行っております。この指定管理者と関係する二市一町で構成します四王寺県民の森協議会を通じまして、施設の管理運営の状況を共有するとともに、運営改善に向けた連携協力が図られております。  また、県はこの協議会に運営委員として参加し、利用者の安全対策や施設のPRなどについて助言等を行っているところであります。 166 ◯井上順吾委員 この県民の森は、春の花、初夏の緑、そして秋の紅葉など、都市近郊でありながら四季を感じることができる、豊かな自然に囲まれた県下有数の森林公園であります。このすばらしさを多くの県民の方々に体感していただきたいと願うわけでありますが、県民の森には年間どれくらいの方々が来場されているのか、五年前から昨年度までの来場者数について、その推移をお答えください。 167 ◯古賀林業振興課長 五年前となる平成二十七年度の来場者数は約二十七万三千人、平成二十八年度は約二十七万六千人と増加しましたが、平成二十九年度は台風によるイベントの中止、平成三十年度は豪雨災害でアクセス道が一時寸断されたことにより来場者数に減少が生じました。令和元年度は新型コロナウイルス感染症拡大で、今年二月、三月に予定していましたイベントが中止になったことなどによりまして、来場者数は約二十五万六千人でありました。 168 ◯井上順吾委員 私どもは、大野城市、太宰府市、それから宇美町、三方からこの四王寺山に登ることができるわけであります。だから二十五万六千人が年間に来てるというのは、地元の人が聞いても驚きなんですよ。それほど広大なところが自然の公園となっている。これが福岡県のど真ん中にある、そういう位置を占めているということは、とてもすばらしい財産であると思っております。  それでは、来場者数を増やすために、どのような工夫が今なされているか、これもお答えください。 169 ◯古賀林業振興課長 公園内では、明るく開放的な空間を創出するため、歩道沿いの雑草木の除去や花木の植栽、駐車場内のカラー舗装などを行い、施設の充実を図っております。  また、管理棟前に視覚障がい者向けの誘導ブロックを設置するとともに案内板のリニューアルを行い、利便性の向上に努めております。  さらに、意見箱の設置やアンケートを実施し、来場者の声を基にした植樹イベントを開催するなど、施設の利用促進に努めているところであります。 170 ◯井上順吾委員 社会全体として、今、新型コロナウイルス感染症拡大が懸念される中であります。来場者数の確保もこれまでのようにはいかないという状況は、当然、また続くことが予想されるわけであります。  私は、このようなときこそ現状を真摯に捉え、魅力ある施設や地域づくりに努め、時世を見ながら来場者を迎える準備をしなくてはならないと強く思うわけであります。  ここで、資料を要求いたします。委員長、あらかじめ執行部に、県民の森で実施された主要イベントと、大野城跡を中心とした一連の文化遺産群の写真について、資料の提出をお願いしております。よろしくお願いいたします。 171 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま、井上順吾委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議はありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 172 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま井上順吾委員から要求がありました資料については提出できますか。 173 ◯古賀林業振興課長 直ちに提出いたします。 174 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 175 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配ってください。      〔資料配付〕
    176 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、井上順吾委員、質疑を行ってください。 177 ◯井上順吾委員 それでは、県民の森で実施された主要イベントについて簡単に説明をしてください。 178 ◯古賀林業振興課長 資料の一ページをお願いいたします。資料は昭和五十一年のオープン以降の主要イベントを記載しております。  まず、昭和五十四年には、第三回全国育樹祭を、当時の皇太子同妃両殿下御臨席の下、県民の森の広場で開催しました。また、平成八年には創設二十周年、平成二十八年には四十周年の記念行事を行いました。さらに、平成二十七年には大野城跡をはじめとする遺産群の築造千三百五十年を記念した行事を開催しました。平成三十年からは、ボランティアによる植樹イベント福岡県みんなの森林づくりを開催するほか、自然観察会や森林づくり体験などを毎年開催しているところであります。 179 ◯井上順吾委員 説明は分かりました。  次に、資料の二ページの写真を見ていただきたいと思います。私はこれまで県議会の一般質問において、国の特別史跡である大野城跡を中心とした、福岡県が誇る一連の文化遺産の歴史的な意義と重要性について度々述べてまいりました。また、平成二十七年に行われた水城・大野城・基肄城築造千三百五十年記念行事では、様々なイベントの展開により、県民の皆様に、この地域の歴史的意義について認識を深めていただいたと思っております。  ここでお聞きいたしますが、この地域の一連の文化遺産の歴史的意義についてお答えください。 180 ◯古賀林業振興課長 大野城跡や水城跡は、六六三年に朝鮮半島の白村江という場所で、唐と新羅の連合軍に敗れたことを契機に、唐・新羅連合軍の侵攻に備え、本土防衛のために、古代日本の玄関口とも言えるこの地域に築かれたものであります。  千三百年以上前に築かれた一連の遺産群は、国内でも有数の規模を誇り、歴史的に極めて重要な遺産であると認識をしております。 181 ◯井上順吾委員 ここで私が皆様方にお伝えしたいのは、先月でした、水城の堤防の大堤、あそこに東門の整備された場所があります。そこに陸上自衛隊、久留米にあります幹部候補生学校がバス二台そろって、あそこで実地研修をしているんですね。いかに水城の堤防、それから四王寺山の大野城跡が、歴史上地政学的に、そして何よりも国を守るという軍備上、そういう大事な地点であったということを、自衛隊の幹部候補生の研修であっていたんです。何年も前ですけど、熊本で九州防衛議連の講演会がありました。元防衛大学校の校長五百旗頭真先生、今は兵庫県立大学の理事長ですけど、この五百旗頭先生が講演の冒頭で一番に言われたのが、日本で防衛という言葉がついた語源は大野城跡であるということでした。それほど、日本の国を守るために、あの地がいかに歴史的に重要な位置であったかということを、自衛隊が自ら研修の中で示しておりました。  この文化遺産群については、その価値が評価され、今年六月十九日に念願の日本遺産に認定されました。その認定範囲も、古代日本の西の都として、大野城市を含めた周辺の五市二町へと拡大され、福岡県が代表自治体となっています。  これを契機に県と関係七市町が一体となり、地域の人々に様々な施策を展開していくこととともに、西の都を支える地域の人々が今まで以上にふるさとを誇りに感じ、この日本遺産を広域ブランドとして発展させていく視点が大切ではないかと考えています。  その一つとして、長年懸案事項として取り組んできました福岡自治研修センター、私たちは福岡県市町村研修所と言っておりますけど、その改修と有効活用に向けた取組が動き出しました。行政職員だけでなく、大野城総合運動公園の利用者など、一般県民の利用を想定し、老朽化した食堂などの改修工事を行い、令和五年度からの一般利用開始を目指しています。  これに加え、大きく開かれた窓から望む景色や緑に囲まれた開放感のあるレストランをコンセプトに、福岡県の食材を使った地産地消のレストラン、仮称でありますが、これを福岡レストランとして営業展開することなども県に要望しているところであります。お昼はランチを食べ、夜は福岡空港の発着を見ながらディナーでステーキを食べる、ワインを飲む、福岡の酒を飲む。そのような三百六十五日展開できる福岡レストランを目指したらいかがかと思っておるわけであります。  そこで、この第二弾として、宇美町にある県民の森センターのサテライト施設として四王寺山の中腹に展望台を整備することを思い描いています。この地域の文化遺産群を歴史の大パノラマとして実感できるような、いわゆる歴史展望台を整備し、令和八年となる県民の森の創設五十周年を迎えたいと考えています。このことは県民の森の機能を強化し、来場者数の増加につながるだけでなく、地域振興にもつながるものだと確信しています。  そこで、県民の森創設五十周年に向けた展望台の整備についての考えをお聞かせください。 182 ◯古賀林業振興課長 県民の森は、文化財と豊かな自然が一体となった施設であり、文化財保護法をはじめ森林法に基づく保安林、都市計画法に基づく市街化調整区域、県立自然公園条例に基づく第二種特別地域の指定を受けております。  このため、展望台を整備する場合には、これら法令や条例に照らし、解決すべき課題があるものと考えております。 183 ◯井上順吾委員 県の研修センターを改修するに当たっても、様々な課題がありました。でも、それを一つ一つクリアして、長年かかりましたけど、あれができるようになったわけであります。  ここで一つ紹介をしたいと思います。三年前の日本の源流を訪ねてという新聞記事ですけど、これがとても四王寺山の大野城跡、似てるわけですね。  山口県下関市にある火の山、眼下には関門海峡が広がり、遠くに目をやれば日本海側から瀬戸内海まで一望できる。二十年以上前、フランスの女性市長が市職員にここを案内された際、あなた方はばかだ──これはフランス語で言ったと思うんですけど、と呆れ、激怒したという逸話が残る。いわく、こんな絶景ポイントに、なぜ国際会議場などのコンベンション施設を造らないのかということだったみたいです。  絶景のポイントということは、軍事的要衝の意味を持つ。室町時代には山城が、江戸時代にはのろし場が置かれた。これが火の山の語源でもあるという。今、この火の山展望台、砲台跡はレストランとなって、夜景が絶景なものだから、民間団体が認定する日本夜景遺産にも選ばれているわけであります。  これと全く同じように、読み替えると、福岡県大野城市にある大野城跡、眼下には博多湾が広がり、遠くに目をやれば玄界灘まで一望できるとなるわけであります。そのような四王寺山の中腹に、歴史の大パノラマを体感するために多くの人々が訪れることを心から願っているわけであります。  令和八年には県民の森五十周年、これに向けて展望台を整備してはいかがかということであります。  これについて、最後に部長の見解をお聞かせ願います。 184 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 185 ◯鐘江農林水産部長 ただいま、令和八年、県民の森創設五十周年を迎えるに当たり、展望台の整備という具体的な提案をいただきました。これにつきましては、先ほど課長が申しました森林法をはじめとした法令上の課題、あるいは整備に係る経費負担といった課題が考えられます。  私どもといたしましては、この節目となる五十周年に向けまして、展望台の整備も含めまして、多くの県民の方々に親しんでいただける県民の森の在り方につきまして、今後研究してまいりたいと思っております。 186 ◯井上順吾委員 ありがとうございました。それでは、委員長にお願いしたいんですけど、この歴史的五十周年、そして何よりも、この地の歴史を、私は小川知事に問いたいと思いますので、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。 187 ◯栗原 渉委員長 ただいま井上順吾委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十二日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 188 ◯井上順吾委員 ありがとうございました。(拍手) 189 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。仁戸田元氣委員。 190 ◯仁戸田元氣委員 民主県政クラブ県議団の仁戸田元氣でございます。  今日は、本県の沿岸漁業の振興に向けた本県の取組についてお聞きをしたいと思っております。  まず、私の住む福岡市西区は、姪浜、今津、唐泊、西浦をはじめ、離島も二つありまして、漁協の支所を抱える、福岡県でも漁業の盛んな地域でございます。また、地元には県の試験研究機関である海洋技術センターもありまして、地元の漁業者の皆さんも非常に頼もしく感じているところであります。  このような環境の中、春夏秋冬問わず、それぞれの季節で様々な魚介類が水揚げをされておりますけれども、沿岸漁業として、漁業者の皆さんの重要な収入源の一つになっているのが貝類であります。  まず、アサリについては西区では能古や姪浜で漁獲されています。有明海や豊前海を含めますと、本県は全国でも有数のアサリの生産地でありまして、またアワビについては西区では玄界島を中心に漁獲されており、玄界灘の沿岸に漁場があります。  そこで、まずアサリ及びアワビの漁獲量の推移、都道府県の順位、管理状況について、あらかじめ資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。 191 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま仁戸田委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議はありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 192 ◯栗原 渉委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま仁戸田委員から要求がありました資料については提出できますか。濱田水産振興課長。 193 ◯濱田水産振興課長 直ちに提出できます。 194 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 195 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 196 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、仁戸田委員、質疑を行ってください。 197 ◯仁戸田元氣委員 それでは、本県のアサリとアワビにつきまして、漁獲量の推移、都道府県の順位、管理状況等について、資料を使って御説明を願います。 198 ◯濱田水産振興課長 御説明いたします。まず、一ページ目、アサリの資料を御覧ください。一番上のグラフに、平成元年度からの本県におけるアサリの漁獲量の推移を示しております。アサリの漁獲量は、過去には約千トンから約七千トンの範囲で増減を繰り返しておりましたが、その後一旦減少し、現在では二千トン近くまで回復しております。  次に、平成三十年のアサリ漁獲量について、上位五位までの都道府県を表に示しております。本県は千七百三十五トンで、全国第二位の漁獲となっております。  次に、アサリの漁獲に関する現行の取組を記載しております。殻長制限などの公的規制と休漁日の設定などの漁業者による自主的な取組がございます。  最後に、アサリの生態などについて記載しております。本県では、アサリは主にじょれんと呼ばれる漁具で漁獲されております。  続きまして、二ページ目、アワビの資料を御覧ください。一番上のグラフに、本県のアワビの漁獲量の推移を示しております。アワビの漁獲量は、平成三年までは二百トンを超えておりましたが、その後、アワビの病気が発生したこともあり、全国的に漁獲量が減少しております。平成七年以降は、本県では毎年五十トン前後の漁獲量を維持しております。  次に、平成三十年のアワビ漁獲量について、上位五位までの都道府県を表に示しております。本県は六十五トンで、全国第四位の漁獲となっております。  次に、アワビの漁獲に関する主な取組を記載しております。殻長制限などの公的な規制と漁獲量の総量規制などの漁業者による自主的な取組がございます。  最後に、アワビの生態などについて記載しております。本県ではアワビは主に素潜り漁で漁獲されております。 199 ◯仁戸田元氣委員 それでは、まずアサリについて質問させていただきたいと思っておりますが、説明にもありましたとおり、本県は全国二位のアサリの生産県でもあります。しかし、平成二十二年から平成二十九年まで低迷しておりまして、少し若干回復しているということでありますけれども、資源状況がとても心配な状況にあります。  なぜ、これまで低迷してきたのか。そしてまた県としてどのような取組を行っているのかお聞かせください。 200 ◯濱田水産振興課長 アサリは全国的に減少傾向にあり、国の報告では、埋立工事等による干潟の消失、乱獲、底質の悪化など様々な要因があると指摘されております。  県では乱獲を防ぐため、三センチ以下のアサリの漁獲の禁止や、漁具として使われるじょれんの目合いや大きさの制限をしています。また、底質の悪化を改善するため、有明海において覆砂を実施するとともに、漁業者が行う干潟を耕す取組を支援しております。 201 ◯仁戸田元氣委員 様々な対策というか取組をされているということでありますけれども、しかし、低迷状況は残念ながら続いておりまして、現状の取組では、ますます低迷していくのではないかと思っております。私の地元の今津の浜崎ではアサリの潮干狩りもなくなっている状況でして、沿岸漁業者の収入確保を今後さらに支えていくためには、さらなる取組が必要ではないかと思っておりますが、どのような取組をされていくのかお聞かせいただければと思います。 202 ◯濱田水産振興課長 有明海に注ぐ矢部川や、博多湾に注ぐ、福岡市西区と早良区にまたがる室見川の河口域では、アサリの稚貝が高密度に発生する場所があります。この稚貝を有効に活用し、成長を促進するためには、稚貝の発生場所から生息密度の低い場所へ稚貝を移す取組が効果的です。  このため、県では定期的にアサリの資源調査を行い、その結果を基に生息密度の高い場所から低い場所へ、例えば室見川河口域から浜崎、今津や能古島などへアサリを移す取組を漁業者に指導しております。  その結果、近年、安定して漁獲される漁場も見られており、このような取組を継続して行うことが重要であると考えております。 203 ◯仁戸田元氣委員 ありがとうございました。  続いて、アワビについて質問させていただいております。こちらも先ほどの資料にもありましたとおり、全国第四位の生産量を本県は誇っているということでございます。アワビは、単価が高いですし、主に初夏から夏にかけての貴重な収入源、玄界島や小呂島でも収入源となっております。これについても、県としてどのような取組をしているのか、お聞きをします。 204 ◯濱田水産振興課長 アワビの資源を増やすためには稚貝の放流が効果的です。そこで、漁業者は公益財団法人ふくおか豊かな海づくり協会で生産したアワビの稚貝を毎年約五十万個、漁場に放流しています。  一方、アワビの資源を守るため、県では十センチ以下のアワビの漁獲や、産卵期である十一月から十二月のアワビの漁獲を禁止しております。  さらに、漁業者も産卵する親貝を守るため、禁漁区や漁獲量の制限を設けるなどの取組を行っているところであります。 205 ◯仁戸田元氣委員 アワビについては、ふくおか豊かな海づくり協会で生産した稚貝を放流しているということでありますが、五十万程度の放流をしているという実態が分かりました。この放流貝が、実際にどれだけ漁獲をされるのかが重要だと思うんですけれども、漁獲されるアワビのうち、放流貝が占める割合や放流したアワビが漁獲できる割合がどのようになっているのかお聞かせください。 206 ◯濱田水産振興課長 県水産海洋技術センターの調査から、漁獲されるアワビのうち放流貝が占める割合は約二六%、放流したアワビを漁獲できる割合は約二五%です。  本県では、アワビの稚貝以外にも、いろいろな魚種で稚魚の放流を行っておりますが、その中でもアワビは非常に放流効果の高い魚種の一つであります。 207 ◯仁戸田元氣委員 漁獲されるアワビのうち放流貝が占める割合が二六%ということは、本県で漁獲されるアワビの四個に一つが放流貝ということになります。もし放流をしていなければ漁獲量は減少するということが分かります。このことからも、本県の稚貝放流が果たす役割が大きいということが分かりますけれども、やはり、この放流事業を今後も継続的に行っていくこと、また、放流事業のさらなる支援を果たすことが県としては大切だと思うんですけれども、本県として、アワビの放流事業をどのように展開していくのかお聞きをします。 208 ◯濱田水産振興課長 委員御指摘のとおり、アワビ資源を持続的に利用するためには放流事業を継続していくことが大変重要であります。  県では、今後とも健全な種苗を安定的に放流できるよう、ふくおか豊かな海づくり協会に対し種苗の生産経費を助成するとともに、漁業者に対しては、より効果が上がるような放流場所の選定、それから放流方法などについて、技術的な指導を継続的に行ってまいります。 209 ◯仁戸田元氣委員 最後に、アサリ、アワビを中心に、本県の沿岸漁業の振興について、水産局長の決意をお伺いしたいと思います。 210 ◯栗原 渉委員長 石田水産局長。 211 ◯石田水産局長 先ほど水産振興課長が資料で御説明をしましたように、アサリは全国で第二位、アワビは全国で第四位と、本県にとって非常に重要な魚種でございます。また、このアサリやアワビといったものは、ごく沿岸の干潟とか藻場で生産されるということで、沖合の漁業に比べますと、非常に漁業経費が少なくて済むと。それと、技術的にも比較的習得しやすいということで、新規就業の皆様、高齢者の方、女性の皆さんにも営みやすい漁業ということで、そういう意味でも大変重要な漁業だと考えてございます。  県としましては、今後とも放流によって資源を増やしていく、それと、先ほど言いましたように公的規制も含めて資源を保護育成していく、こういったことを積極的に進めることによりまして、沿岸漁業の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 212 ◯仁戸田元氣委員 終わります。(拍手) 213 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。椛島徳博委員。 214 ◯椛島徳博委員 皆さん、こんにちは。緑友会の椛島徳博でございます。  通告に従いまして、博多和牛の生産振興と家畜衛生対策、この二点についてお尋ねをいたします。  新型コロナウイルス感染の拡大で、経済はもとより国内外の様々な分野に深刻な影響が出ております。農林水産業、この分野も例外ではなく、直接、間接の影響があるようです。  そこで、質問です。本県のブランドである博多和牛も影響を受けていると聞いておりますが、具体的にどのような影響が出ているのか、まず伺います。 215 ◯栗原 渉委員長 前田畜産課長。 216 ◯前田畜産課長 博多和牛をはじめとする和牛は、飲食店などの外食需要が大きく低下したことで、枝肉価格は大幅に下落しております。枝肉価格が最も低下した本年四月には、福岡食肉市場において、前年同月比約三割安の一キログラム当たり単価千七百円まで下落し、七月には二割安程度まで上昇したものの、現在でも低迷が続いております。 217 ◯椛島徳博委員 三割から二割の安値ということで、それだけ牛肉の価格が下がれば経営は大変だと思います。生産者の経営の現状についてお尋ねします。 218 ◯前田畜産課長 枝肉価格の下落により生産者の販売収入が大幅に減少した一方で、子牛代などの生産費は変わっていないことから、経営は赤字状態になっております。具体的には、七月時点で、本県から出荷された和牛一頭当たり平均販売額が百四万円、これに対し標準的な生産費は百二十五万円であり、二十万円程度の赤字になると考えております。 219 ◯椛島徳博委員 いや、生産しても赤字ということで、生産者の皆さん方は本当に大変であります。今後の経営にも大きな不安を抱えてあると思いますが、本県として経営の継続に向けてどのような支援を行われているのか伺います。 220 ◯前田畜産課長 肥育牛生産者には、国のセーフティーネット対策として肉用牛肥育経営安定交付金制度があり、これは国が四分の三、生産者が四分の一の積立てを行って赤字を補填する制度であり、これにより赤字額の九割が補填されております。  これに加え、県では、新型コロナウイルス感染症対策として、補正予算において子牛の導入経費を助成し、経営継続に向けて支援を行っております。 221 ◯椛島徳博委員 厳しい状況の中で、国と県が収入の補填、また子牛の導入支援をしていただいているということで、生産者にとっては大変心強いことだと思います。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響が今後も続けば、生産基盤の弱体化が懸念されます。  より一層の支援が必要だと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか教えてください。 222 ◯前田畜産課長 県では、博多和牛の品質を高めるため、血液検査などを実施し、飼料給与方法の改善を指導するとともに、その改良を加速するため、昨年度からは遺伝子解析によるゲノミック評価を導入しております。  また、規模拡大に必要な畜舎の整備のほか、暑熱対策や自給飼料生産用の機械の導入を支援しております。  さらに、認知度の向上を図るため、博多和牛フェアの開催などによりPRを行っております。  こうした取組を生産者と一体となって行うことにより、博多和牛の生産振興に努めてまいります。
    223 ◯椛島徳博委員 今後とも、ぜひしっかりと博多和牛生産の振興のために支援をしていただきたいと改めてお願いをいたします。  それでは、次に、家畜衛生対策について伺います。時節柄、心配なのが家畜の伝染病です。最近では、岐阜県を発端として豚の病気である豚熱が他県にも拡大し、多くの豚が処分されております。また、これから冬を迎え、鳥インフルエンザのような伝染病が発生することが非常に心配であります。  そこで、お尋ねします。家畜伝染病の発生防止のため、県としてどのような対策を行っているのか伺います。 224 ◯前田畜産課長 全ての畜産農家に対しまして、家畜保健衛生所が、農場の消毒、人・車両の立入制限などを定めた飼養衛生管理基準の遵守を指導しております。また、定期的に農場に立ち入り、血液検査や遺伝子検査などを実施して、家畜伝染病の早期発見に努めているところでございます。 225 ◯椛島徳博委員 日頃から畜産農家や関係者の方々が一緒になって家畜伝染病が発生しないように努めていただいているというお答えで、少し安心をいたしました。ただ、どんなに家畜伝染病の予防に気をつけても、万が一ということが当然あります。  そこで、万が一、県内で家畜伝染病が発生した場合、蔓延しないように、どのような対策を講じているかについて伺います。 226 ◯前田畜産課長 家畜伝染病の蔓延防止には的確な初動防疫が重要なため、迅速な家畜の処分や、県や関係団体職員などの防疫作業員の輸送などに関係する県獣医師会やバス協会などの十一の団体と防疫協定を締結しております。  さらに、防疫作業の訓練のため、毎年、実地演習を行っており、今年度は今月十四日、築上町におきまして検疫の演習を行うこととしております。 227 ◯椛島徳博委員 十四日に演習を行うということで、ぜひ、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  最後に、部長にお尋ねをいたします。  苦しい現状にある博多和牛生産者が安心して事業の継続ができるように、生産振興にどのように取り組んでいくのか、また、家畜伝染病など衛生対策にどう対応していくのか決意をお尋ねします。 228 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 229 ◯鐘江農林水産部長 冒頭、課長が申し上げましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、博多和牛経営にも大きな影響が出ております。このため、普及指導センター等におきまして、生産者個々の経営状況をつかむ、課題をつかむとともに、先ほど課長が申しました、国の制度、県の補正予算を活用しながら、博多和牛生産者が安心して経営が継続できるように、きめ細やかに取り組んでまいります。  また、こうした中、口蹄疫など牛にも重大な被害を与える家畜伝染病の発生は何としても未然に防がなければならないと考えております。近年、国内での発生はございませんけれども、中国、韓国など近隣の国では、この口蹄疫の発生が続いております。この発生防止につきましても、緊張感を持って、そして関係者と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。 230 ◯椛島徳博委員 いろいろ答弁ありがとうございました。  今日、我が会派は、お昼に、はかた地どりの弁当を食べました。この会期内に博多和牛の弁当をぜひ食べたいと思っております。消費拡大のためにも、ぜひ皆さん方の御支援、御協力をお願い申し上げまして、質問を終わります。(拍手) 231 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。 232 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子です。  豪雨等を踏まえた今後のため池対策について伺います。  ため池は全国に十六万か所存在すると言われております。平成三十年七月豪雨において多くのため池が被災したことを受け、国は、防災重点ため池の再選定を行うとともに、避難行動につなげる対策と施設機能の適切な維持・補強に向けた対策を推進、本年度予算で、ため池の緊急対策も実施しています。  まず、農業用ため池、防災重点ため池について簡潔に御説明いただきますとともに、それぞれの数を明らかにしてください。防災重点ため池の選定基準の見直しで、その数がどのように変化したかということについてもお答えください。 233 ◯栗原 渉委員長 柳田農村森林整備課長。 234 ◯柳田農村森林整備課長 まず、農業用ため池とは、農業用水を貯留する目的で造られたものであり、農業者が利用する施設でございます。本県には、昨年度末時点で四千八百八か所ありまして、全国で八番目の数となっております。  次に、防災重点ため池とは、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与えるおそれのあるため池でございます。本県には、昨年度末時点で三千五百七十八か所ありまして、全国で五番目となっております。  先ほど委員の申されましたように、農林水産省は新たな選定基準を三十年十一月に定めました。これを受けまして、防災重点ため池は、見直し前は八十か所でしたが、市町村と連携し、見直した結果、先ほど申しました三千五百七十八か所となったところです。 235 ◯高瀬菜穂子委員 本県の農業用ため池は四千八百八か所で、全国に八番目に高いと。防災重点ため池は三千五百七十八か所で、農業用ため池に占める割合は全国でも高いと。数で言うと五番目ということでしたね。決壊した場合に人的被害を与えるおそれのあるため池が多いというのが本県の特徴でもあると思います。  選定基準の見直しで、八十か所だったものが三千五百七十八か所に増えたというのは、かなり衝撃の数字でもあります。ため池の治水対策は本県においてとりわけ重要な課題であると考えます。国も、決壊による災害を防止するため、農業用ため池の管理及び保全に関する法律を施行し、所有者等による都道府県への届出の義務づけ、データベースの整備・公表、所有者等による適正管理の努力義務などを定めました。また、浸水想定区域図を作成して、市町村に提供し、ハザードマップを作成すること、水位計や監視カメラの設置なども取り組まれていると思います。  これら施策の進捗状況について、お答えください。 236 ◯柳田農村森林整備課長 届出状況でございます。本県には、県への届出を必要とするため池は二千八十三か所あり、これまでに二千十一か所について届出がなされたところです。この届出された所有者や所在地といった情報などを基にデータベースの整備を行い、既に公表しているところです。  次に、ハザードマップの作成状況でございます。県におきまして、ため池が決壊した場合を想定した浸水想定区域図を、昨年度までに全ての防災重点ため池で作成しまして、これを市町村へ提供したところです。市町村は、この浸水想定区域図を基にハザードマップの作成を順次進めておりまして、昨年度末時点で百七十四か所を作成しております。  また、豪雨時に、ため池の管理者や市町村職員が現地に行かずに状況をリアルタイムで把握できる水位計や監視カメラについては、市町村が昨年度までに九か所を設置しまして、本年度は四十か所を設置する予定でございます。 237 ◯高瀬菜穂子委員 既にデータベースはつくられていると。浸水想定区域図を全ての防災重点ため池で作成されているということですので、今後、市町村においてハザードマップが作られ、周辺住民に情報が行き届くようにしていただきたいと思います。  ため池の届出対象二千八十三か所に対して、届出済みは二千十一か所ということです。民間のため池の中には、所有者がはっきりしないものもあるかと思いますけれども、届出がされていないため池については今後どのように取り組まれるおつもりでしょうか。 238 ◯柳田農村森林整備課長 届出されていない七十二か所については、現在、市町村と連携し、所有者、管理者の確認を進めるとともに、届出を促しているところでございます。 239 ◯高瀬菜穂子委員 私の地元の北九州でも、所有者が明確でない、人民共有などとなっているため池がありまして、その管理が問題になっているところもあります。そのような場合、自治体が管理者となることも必要ではないかと思います。市町村と連携して、所有者、管理者の確認を急いでいただきたいと思います。  さて、農業用ため池は、現在でも洪水調節機能を果たしていると言えると思います。二〇〇六年に、九大のグループで御笠川流域の治水強化策という研究をされて、論文にまとめられているんですけれども、この論文を読みますと、御笠川流域の二基の洪水調節ダムと百二十一基のため池の治水効果を分析されていまして、ため池全体でダムの八六%の治水効果を有しているというふうにしています。  さらに、ため池のかさ上げなどのハード面、貯水率を変化させるソフト面などで強化を行えば、洪水調節ダムと同等の治水効果を有するというふうにしていまして、特に都市部においては、ため池の洪水調節機能の有効活用が望まれると結論づけています。  ため池を治水に有効に活用することは重要な課題だと思います。今、ダムについては、事前放流などが取り組まれておりますが、その過程で治水協定書が作られたりしています。ため池を活用した治水については、どのような取組がされているのかお答えください。 240 ◯柳田農村森林整備課長 県では、梅雨期や台風期などの大雨が予想される前に、市町村を通じ、農業者の理解を得ながら、ため池の事前放流や低水位管理を促す取組を行ってきております。 241 ◯高瀬菜穂子委員 事前放流や低水位管理を行っていると。水位を下げるということですね。それは効果のある取組だと思いますので、その取組、広がるようにお願いしたいと思います。  福岡市の樋井川水系の整備方針では、農業用ため池による治水対策が位置づけられています。この地域は、早くから市民会議が提言を発表するなど、治水に高い関心のある地域でもあります。都市部では農業用としての利用がなくなったため池も存在していると思います。こうしたため池の活用は流域治水の重要な柱であると思います。  河川とともに、ため池を流域治水に活用することについての見解を伺います。また、取組があれば教えていただきたいと思います。 242 ◯柳田農村森林整備課長 水田の宅地化などの影響により、農業用としての利用がなくなったため池については、地域の洪水を抑制するため調整池としての利用も可能と考えられます。これまでにも複数の市町村において、農業用ため池であったものを、市町村が関係者と調整し、調整池としての利用を行っている事例がございます。 243 ◯高瀬菜穂子委員 既に調整池としての利用を行っているところもあると。転用することが可能だということだと思いますので、その条件のあるところ、特に都市部では、県土整備、河川管理の部と一緒になって、流域治水という観点から転用も含めた対策を進めていただきたいと思います。  豪雨災害を受けて、各地でため池を活用した治水対策が行われ、インターネットには、調べますと、様々な取組事例がアップされておりまして、私も勉強になりました。  最もため池が多い兵庫県ですけれども、ため池治水プロジェクトが展開されておりまして、三千立米以上の雨水貯水容量を確保するため池については、一か所当たり、九月、十月の二か月で七万円を三年間支給すると。円滑な管理を促進するためということでこういう制度をつくっているんですが、管理者に対するこうした取組というのは有効じゃないかと思いました。本県でも進めてみてはどうかと考えますけれども、見解を伺います。 244 ◯柳田農村森林整備課長 水田に農業用水が必要となる六月から八月の時期のため池を活用した治水対策は、農業者の理解を得ることは非常に難しいと考えています。  県では、ため池管理に携わる農業者や市町村職員に、ため池の機能が発揮できるよう、日常の管理・点検に必要な知識や技術、こういったものを習得していただくことが重要であると考え、今年度、ため池管理保全支援センターを設置しまして、管理者からの日常管理に関する相談への対応や、管理の状況を確認し、適切な助言・指導、また、日常管理や点検、工事上の留意点などを学ぶ研修会などに取り組んでいるところです。 245 ◯高瀬菜穂子委員 様々な取組を本県でも展開されているということであります。  六月から八月というのは農業用水が必要な時期だとは思いますが、その後の台風の時期とか、年間を通してどのようにため池を使っていくかということについては、様々工夫もしていただきたいと思います。  ため池を活用した利水治水両面にわたる取組が全国で展開されていくと思いますので、効果的な施策については、ぜひ本県でも取り入れて進めていただきたいと、河川管理と共同してのため池の治水利用の推進をお願いいたしまして、質問を終わります。 246 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。 247 ◯高橋義彦委員 政義会の高橋義彦でございます。  本日は、捕獲鳥獣に関する御質問をさせていただきます。  私の地元飯塚市、嘉穂郡は、中山間地域が多いため、山から下りてきたイノシシ、鹿による農作物の被害が発生しやすい状況です。猟友会をはじめとした狩猟者の皆様の御尽力により、有害鳥獣の捕獲が進められていますが、捕獲して止め刺し、これを獣肉加工施設に持ち込むといった一連の作業が重労働であるため、高齢化により、続けていくのは困難になってきているという声をよく聞きます。  このような中、本年六月二十三日の日本農業新聞に興味深い記事が載っておりました。記事によると、佐賀県武雄市では、鳥獣加工処理センターに乾燥炉を導入し、捕獲した野生イノシシの死骸を乾燥させ、粉末状の堆肥にする取組を始めたということです。  こうした取組を本県でも進めれば、飯塚市、嘉穂郡をはじめとした県内各地の有害鳥獣の捕獲の推進にもつながるものと考えますので、今回、捕獲した有害鳥獣の新たな活用方法といった観点から質問をさせていただきます。  まず、本県の有害鳥獣による農林水産物の被害額の推移、次に、捕獲の状況、特にイノシシ、鹿の状況についてお伺いいたします。 248 ◯栗原 渉委員長 因農山漁村振興課長。 249 ◯因農山漁村振興課長 令和元年度の野生鳥獣による農林水産物被害額は七億六千万と、ピークの平成二十二年度の十五億七千万に比べ半減しております。  捕獲の状況についてでございます。令和元年度の捕獲頭数はイノシシが二万五千頭で前年度並み、鹿は約一万一千頭で、前年からやや減少しております。 250 ◯高橋義彦委員 イノシシは約二万五千頭、鹿は一万一千頭も捕獲されており、被害額も減少しているということが分かりました。  捕獲については、何よりも狩猟者の御尽力があってこそであります。しかしながら、狩猟者も高齢化しているため、今後も捕獲を続けていくためには狩猟者の確保も必要であると考えます。  そこで、狩猟者の確保に向け、県ではどのように取り組んでいますか。そして、その成果である狩猟者数の推移についても併せてお答えください。 251 ◯因農山漁村振興課長 県では新たな狩猟者を確保するため、狩猟免許の取得経費を助成するとともに、狩猟試験の回数を年二回から四回に増やしております。この結果、令和元年度の狩猟免許の合格者数は三百八十一人と、最も合格者が少なかった平成二十二年度の百八十四人に比べ大幅に増加しております。  また、初心者を対象とした猟銃の安全な取扱方法の研修会や、ベテラン狩猟者を派遣して、経験の浅い狩猟者などをマンツーマン指導するといった取組を実施しております。  狩猟者数は若干減少傾向にありますものの、こうした取組により、近年、狩猟者登録者数は三千人レベルで推移をしております。 252 ◯高橋義彦委員 狩猟者の確保に向け様々な取組が行われ、その結果、狩猟者数は減少傾向にある中、免許の合格者数など一定の成果が出ていることは分かりました。  次に、捕獲した鳥獣の食肉としての利用状況についてお聞きいたします。  先ほど申し上げた日本農業新聞の記事では、捕獲した鳥獣のうち現場で埋却処理されるものが八割で、食肉利用が一割程度、その他は、ごみ焼却場で焼却処理されてるところが多いとの農林水産省のコメントが掲載されております。武雄市でも、捕獲されたイノシシのうち、食肉加工できるものは一割未満であるとのことです。  県内の狩猟者の方からは、食肉利用するためには品質の劣化を防がないといけないため、止め刺しをし、血を抜く作業をしてからおおむね一時間程度で獣肉処理加工施設に持ち込むことが必要であり、血を抜く作業の際、イノシシを引っ張り下ろしたり上げたりするのが大変で、高齢の身にはこたえるといった声も聞きます。  こうした声を聞きますと、県内の食肉利用としての割合もそんなに高くはないと思われますが、県内ではどれぐらいの割合で食肉利用されているのか、お答えください。 253 ◯因農山漁村振興課長 県内の獣肉処理加工施設は、現在、公設六か所、民設九か所の全体で十五施設となっております。この十五施設全体におけるイノシシ、鹿の年間処理頭数は約二千頭で、これを捕獲頭数から推定すると、食肉としての利用は六%となります。 254 ◯高橋義彦委員 県内の有害鳥獣の食肉利用についても、全国で一割程度、また武雄市で一割未満といった例に漏れず、僅か六%で、まだまだ利用が進んでいるとは思えません。利用を進めるためにも、先ほど指摘しましたとおり、狩猟者の負担軽減を図ることも大切と考えます。  そこで、県では、狩猟者の負担軽減を図るため、どのような取組を行っているのかお答えください。 255 ◯因農山漁村振興課長 県では、委員御指摘のとおり、狩猟者の負担軽減といった課題に対応するため、民間企業の力を借りて新たな供給の仕組みをつくるモデル事業を、今年度から新たに実施することといたしました。  具体的には、既存の処理施設を拠点とした糸島地区と添田地区の二か所をモデル地区といたしまして、狩猟者の負担となる作業を民間事業者が担う新たな供給体制の実証に取り組んでいるところでございます。 256 ◯高橋義彦委員 狩猟者の負担軽減のため、今年度からモデル事業を開始されたということではあります。このモデル事業の取組が各地域に広がっていくよう、きちんと検証しながら進めていただきたいと考えております。  食肉利用が進んでいないのではないかと、先ほど御指摘いたしました。食肉利用の拡大に向けた取組が必要と考えますが、県ではどのような取組を行っているのか、お答えください。 257 ◯因農山漁村振興課長 捕獲されたイノシシや鹿の食肉利用、いわゆるジビエ振興でございますけれども、これらの肉を地域の魅力的な資源としてさらにPRするため、県処理施設のジビエを年間を通して提供する飲食店を福岡ジビエの店として認定し、この認定店において、今年度は十月と二月の二回、消費者にジビエのおいしさを伝える料理フェアを開催することとしております。  先ほどお答えしましたモデル事業と併せまして、こうした取組を通じてジビエの供給と利用の拡大を図ってまいります。 258 ◯高橋義彦委員 ジビエの利用拡大に向け消費者にアピールしていくためには、フェアの開催などPRも有効でありますので、これについてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。  その一方で、短期間で獣肉処理加工施設に持ち込むことが大変という狩猟者の声をお聞きしますと、捕獲獣全てを食肉利用することは、現状では厳しいと思います。処理後の内臓や骨、いわゆる残渣の処理方法も課題であると考えます。  佐賀県武雄市の取組では、乾燥炉の中にイノシシの死骸をそのまま入れ、七十度から八十度に熱しながら、五時間程度で粉末状にすることなのですが、この粉末を分析すると、窒素、リン酸、カリを含んでいたことから、野菜などに向く栄養価の高い肥料になると見込み、本年度中に実用化を目指して成分の分析などが進められており、できた肥料は鳥獣被害を受ける農家に還元するとのことです。  この武雄市の事例について、御存じでしょうか。 259 ◯因農山漁村振興課長 武雄市におけるイノシシの処理施設については、当課の職員が本年八月に現地視察を実施させていただいたところであります。 260 ◯高橋義彦委員 肥料化のための乾燥といった工程では、短期間で獣肉加工処理施設に持ち込まなければならないとか、血抜き作業が大変だという労力を有する作業は要らない、まさに狩猟者の声に応え、省力化できる画期的な取組であると言えます。捕獲したイノシシや鹿を焼却や埋却するといった、命を無駄にしないためにも、県でもこうした武雄市の取組を参考に、食肉利用についても推進していく必要があると考えます。  施設を視察したとのことですが、この武雄市の取組について、県ではどう評価されていますでしょうか。 261 ◯因農山漁村振興課長 今後、肥料として実用化できれば、獣肉処理加工施設の持込み時間に間に合わない屠体ですとか、解体後の残渣の処理方法として有効であると考えております。  しかしながら、現段階においては、処理にかかるコストや、イノシシを乾燥する際の臭気の発生、また、肥料の場合は登録が必要となることや、受入先の確保、さらに、鹿については実施をされていないといった様々な課題があると思います。 262 ◯高橋義彦委員 有効であるという一方で課題もあるということは分かりましたが、狩猟者の負担軽減といった観点からも、私としては、やはり画期的な取組であると考えております。  そこで、本県において、武雄市の事例を参考に堆肥化の取組を進めるべきではないかと考えますが、県としてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 263 ◯因農山漁村振興課長 県が行った武雄市の視察でございますけれども、その状況につきまして、県、市町村、獣肉処理加工施設の運営者で構成する福岡ジビエ流通促進協議会を通じまして情報提供を行っているところであります。  お尋ねの堆肥化の取組につきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、処理にかかるコストなどの課題もございますので、そういった課題も含め、引き続き実用化に向けた武雄市の取組状況の把握に努めながら、県内関係者の意向も踏まえつつ、福岡ジビエ流通促進協議会において研究してまいりたいと考えております。 264 ◯高橋義彦委員 先ほど、堆肥化の取組に当たっても様々な課題がありますが、引き続き、武雄市の状況を把握しながら研究していくとの答弁がありました。  私の地元飯塚市、嘉穂郡には、残念ながら獣肉処理加工施設がございません。何度も施設整備の話が出ますが、狩猟者の高齢化などにより、立ち消えになっていると聞いています。乾燥炉の導入による堆肥化という食肉以外の利用も進めることで、こうした地域でも獣肉処理加工施設の整備が進み、食肉利用の増加、ひいては鳥獣被害の減少にもつながるのではないでしょうか。  武雄市の事例を参考に、ぜひ施設の導入について前向きに検討し、そして、こういったことを強く要望いたしまして、質問を終わります。(拍手) 265 ◯栗原 渉委員長 この際、しばらく休憩します。再開は午後三時五十分といたします。    午 後 三 時 三 十 五 分 休 憩    午 後 三 時 五 十 分 再 開
    266 ◯栗原 渉委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  農林水産部所管分について、ほかに質疑はありませんか。中牟田伸二委員。 267 ◯中牟田伸二委員 自民党県議団の中牟田伸二でございます。本日二回目の質問をさせていただきます。  通告に従いまして、七月豪雨災害等における営農継続への取組について質問させていただきます。  令和二年七月豪雨災害の問題につきましては、我が会派の代表質問においてもただしたところでございますが、本日改めて、具体的な内容について質問いたします。  今回の豪雨では、熊本県など九州一円に大きな被害をもたらし、本県も県南部地域を中心に甚大な被害が発生いたしました。特に久留米市など筑後川流域の地域では、平成二十九年九州北部豪雨から四年連続での災害となりました。まさに栗原委員長の地元甘木、朝倉、いまだ復興半ばでございますが、この災害が続く福岡県をいかに復興していくか、災害に遭われた方々に寄り添って質問させていただきます。  我が自民党県議団でも、発災直後直ちに災害対策本部を立ち上げるとともに、被災調査団を編成し、速やかに現地で被害状況の把握に努めてまいりました。その中で被災者からは、ここ数年毎年のように被害を被っている。筑後川に流れ込む中小河川が氾濫し、非常に広範囲にわたって水につかった。川は何とかすることができないのか。自分たちでできる対策は取ってきたのに、また作物だけではなく農業用施設や機械も駄目になったといった悲痛な声が聞かれました。  農業者の皆さんは、毎年のように発生する災害に心身ともに疲れ切っております。それでも前向きに再生産に向けた取組を進められておられます。私はこのような農業者の皆さんが、必要以上の負担を強いられることなく、これからも安心して農業経営に専念できるよう取り組まなければならないと考えています。  そこで、まずお尋ねいたします。令和二年七月豪雨災害により農業に甚大な被害が発生しておりますが、特に影響が大きかった園芸作物の被害状況はどうだったのか、お答えください。 268 ◯栗原 渉委員長 中馬園芸振興課長。 269 ◯中馬園芸振興課長 今回の豪雨により二十二億一千万円の農作物被害がありましたが、そのうち園芸作物に関係する被害が十五億六千万円となっております。この内訳は、軟弱野菜の冠水など十四億円、花卉の冠水で八千万円、果樹の土砂流入などで八千万円となっております。また、ハウス施設や機械に係る被害額は十二億九千万円であり、この大部分は園芸作物に関係する施設・機械となっております。 270 ◯中牟田伸二委員 今、答えていただいたように大きな被害が出ています。  今回の豪雨災害で被災した園芸農家は、農作物が出荷できず、収入が減少しております。米や大豆では、農業共済制度により収入が補填される農家も多いと聞きますが、園芸農家が安心して次の作付を行う準備を進めるには、再生産に向けた支援が必要であると考えます。  被害を受けた農作物について、農家が営農を再開するため、県ではどのような支援を実施するのか、お答えください。 271 ◯中馬園芸振興課長 農林漁業者の経営再開に向け、県では、災害発生後、直ちに各農林事務所、普及指導センターなどに相談窓口を設置し、被災した園芸農家に対して融資、共済などの支援制度の情報提供や、栽培技術、経営相談といった支援に取り組んだところでございます。  さらに、被災した野菜や花卉の次期作を支援するため、これらの種苗や土壌改良資材の購入経費を助成することとしたところです。  加えて、被災者の経営安定につながるよう、地産地消フェアや県庁ロビーでの出張販売などを通じて、被災地の農林水産物の販売促進にも取り組んでおります。 272 ◯中牟田伸二委員 営農再開に向けたこうした支援は、今までも当然実施しているものだと思います。しかし、冒頭でもお話ししたように、同じ園芸農家が複数回にわたって被災されており、今までと同じ支援では営農再開に支障を来す可能性があると思われます。  このように複数年豪雨による冠水被害を受けた園芸農家に対しては、どのような支援を考えているのかお答えください。 273 ◯中馬園芸振興課長 特に二年連続で被災いたしました農業者に対しましては、野菜などの種苗や肥料、農薬などの生産資材の購入に対する助成につきまして、これまで補助率二分の一のところを十分の八にかさ上げし、支援を強化しているところでございます。 274 ◯中牟田伸二委員 何度も被災されている農家には、ぜひ手厚い支援をお願いいたします。  しかしながら、被害を受けたのは農作物だけではなく、それを生産するためのハウスや、それに附属するポンプ等の設備、農業用機械についても、水につかり、修理や再取得が必要な園芸農家もいると聞いております。  そこで、お尋ねします。今回の豪雨でのハウス施設や農業用機械への被害に対して、県ではどのような支援を行っているのかお答えください。 275 ◯中馬園芸振興課長 ハウス施設や農業用機械が被災した農業者に対しましては、これらのハウス施設や農業機械の再取得に要する経費を支援しております。  加えて、農業用ハウスの周囲に浸水防止壁や排水ポンプの設置を支援しているところでございます。 276 ◯中牟田伸二委員 災害への対応について、被災した園芸農家への次期作支援や施設・機械の復旧だけでは、豪雨があるたび同じような被害が出てしまうことになり、現実、複数年被害に遭われた農家が出ております。  福岡県としては、ハウス栽培を行う園芸農家が再び浸水被害に遭わないようにするために災害回避対策を行っているということですが、昨年も豪雨による災害回避に向け、浸水防止壁の設置を行っていますが、今回の豪雨災害で効果があったのでしょうか、お答えください。 277 ◯中馬園芸振興課長 これまでの豪雨において、ハウス施設に浸水した園芸農家の中には、浸水防止壁の設置を行ったものの、想定を超える雨量であったため、浸水防止壁を越えてハウスに浸水した事例もございました。  そのため、ハウス施設につきましては、これまでの浸水被害状況を踏まえまして、浸水防止壁のさらなるかさ上げや補強、そして排水ポンプの増設への支援を強化することとしております。 278 ◯中牟田伸二委員 災害回避に向けては、浸水防止壁だけでは、また同じような被害を繰り返すだけではないでしょうか。  浸水被害に遭わないようにするためには、作物を転換するなど、もっと根本的な対策が必要ではないかと考えますが、これまで国の減反制度などの施策によって、水田から畑作へ転換させられているわけです。このため、国のソフト事業などを活用し、生産者に寄り添った抜本的な対策が必要ではないかと思いますが、今後どのような対策を考えているのか、お答えください。 279 ◯中馬園芸振興課長 栽培期間が梅雨時期と重ならない品目への転換や、梅雨時期に浸水のおそれがある低い地域での作付、また豪雨の可能性のある夏場におきまして作付割合を減らすよう調整することなどが考えられます。これらのソフト部分の対策につきましては、市町村や農協などと連携しながら、それぞれの地域、農業者に合わせた検討を通じまして、災害防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。 280 ◯中牟田伸二委員 豪雨災害について、営農継続に向けた支援策は分かりました。  しかし、御存じのとおり、今年は年明けから全世界で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響によって、我が国においても、人の往来が制限され、経済活動が停滞しました。これによって、園芸農家は豪雨災害に遭う前から、花をはじめとした園芸品目も、需要の減少による価格下落を招き、農業所得の減少が心配されています。  このような中、福岡県においても、今年は豪雨災害だけではなく、新型コロナウイルス感染症の影響も受けたと聞いておりますけれども、園芸品目における影響とその対策について、お答えください。 281 ◯中馬園芸振興課長 園芸品目への影響につきましては、まず、花卉ではイベント自粛や葬儀の規模縮小による需要の減少、また一部の野菜では飲食店等の需要の減少が生じております。また、生産現場では、外国人技能実習生の入国制限により労働力不足の懸念が生じております。  このため、県では、生産継続を図るため、次の作付に必要な花卉、野菜の種苗の購入への助成を行うこととしたところでございます。  さらに、労働力不足対策としましては、外国人技能実習生に代わる人材の雇用に必要な資金のかかり増し経費を助成するほか、高性能省力機械の導入を支援しているところでございます。  加えまして、販売、需要喚起策といたしまして、福岡県産の農林水産物や加工品を特別価格で購入できるウェブ物産展や、企業や公共施設での飾花を行い、花卉の需要拡大の取組を行っているところでございます。 282 ◯中牟田伸二委員 農林水産業においては、四年連続で豪雨などの自然災害に見舞われており、この災害に加えコロナ禍が続いています。コロナの影響がどこまで続くか。先が見通せない状況の中で、将来にわたって生産を続けるかどうか、不安視する声も聞きます。  そこで最後に、このような豪雨災害などに対して、県として、生産者の営農継続に向けた対策をどう行っていくつもりなのか、部長の決意をお聞かせいただきます。 283 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 284 ◯鐘江農林水産部長 課長が冒頭申し上げましたけれども、今回の災害では、本県の農業の柱であります園芸農業に特に甚大な被害が生じました。県としましては、度重なり被災を受けられた園芸農家において、それぞれの経営が縮小されることなく継続されることが最も大事だと考えております。  このため、これまで課長が申し上げましたが、ハウス施設、農業機械の再取得、種苗費などの助成といったもの、さらには、労働力不足を補うための機械の導入支援を行っているところでございます。  今後とも、先ほど委員が御指摘いただきました、国のものを含めたソフト事業の活用に取り組むとともに、普及指導センター等において、生産者個々の経営状況、課題といったものをつかみながら、将来に展望が持てるように、きめ細かに対応してまいりたいと考えております。 285 ◯中牟田伸二委員 しっかりとした部長の答弁をいただいたというふうに思います。  農林漁業者は、度重なる豪雨災害や新型コロナウイルス感染症の影響で大変苦労しております。園芸農家、さらには農林漁業者への支援の着実な実施について、よろしくお願いいたします。  委員長、この取組について、知事に直接お考えをお聞きしたいと思いますので、知事保留質疑のお取り計らいをよろしくお願いいたします。 286 ◯栗原 渉委員長 ただいま、中牟田委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は、十月十二日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 287 ◯中牟田伸二委員 終わります。ありがとうございました。(拍手) 288 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。西元健委員。 289 ◯西元 健委員 自民党県議団の西元でございます。  本日は、豊前海における水産振興、特に漁場づくりと資源づくりについてお伺いいたします。  海の幸、山の幸に恵まれました私の地元であります豊前・築城地域ですれども、現在、同地区では人口の減少が続いており、一例を挙げますと、豊前市では、約二十年前に平成十二年には約三万人いた人口が毎年減少を続け、今年度中に二万五千人を切る状況となっております。この数字だけ見るとちょっと寂しい感じがするんですけれども、私が生まれ育ったこの地域を活気ある地域にするために、いろいろと取り組まなければならない課題はありますが、中でも水産業の振興は大きな柱であると考えております。  豊築地域は、豊前海一粒かきや豊前本ガニ、ハモなど、海の幸に大変恵まれており、このような海の幸を目当てにたくさんの人に来てもらい、そして交流人口の拡大により地域がより活性化するとともに、活力あるこの地に魅力を感じた人たちが移住してくることも期待できるかと思っております。  このようなことから、私は豊かな豊前海の水産業を将来にわたり継続、発展させていくことが重要であると考えており、平成二十九年の三月に開かれました予算特別委員会の席で、豊前海の水産振興について、中でも魚礁や覆砂といった漁場づくりと資源管理の栽培漁業といったものを問うたところでございます。  あれから三年ほど経過しましたが、その後の取組についてただしていきたいと思います。  まず、漁場づくりについてお伺いいたします。豊前海では、どのような漁場づくりを行っているのか、お答えください。 290 ◯栗原 渉委員長 濱田水産振興課長。 291 ◯濱田水産振興課長 豊前海は内湾性の海域であり、浮泥が堆積しやすく、また魚が集まりやすい岩場が少ないという特徴があります。そこで沿岸域から沖合域において、底質の改善や産卵場の造成を目的とした覆砂や、魚介類の定着を目的とした魚礁の設置などを行っております。 292 ◯西元 健委員 豊前海の特徴を生かした漁場づくりを行っているというお答えでした。  豊前海は本県だけでなく複数の県にまたがっております。当然、魚の行き来もあるわけで、そういった意味では広域的な視点も必要となってくるのではないかと思います。  そこで、お伺いいたします。漁場づくりを行う際には、どのような視点に立って整備しているのか、お答えください。 293 ◯濱田水産振興課長 メバルやカサゴなど遠くへ移動しない魚を対象とする場合には県独自の計画を、マコガレイなど広範囲に移動する魚を対象とする場合には複数県にまたがる計画を策定し、それぞれ漁場を整備しております。 294 ◯西元 健委員 広域に移動する魚種を対象とする場合には複数県にまたがる計画を作成して、漁場を整備しているということでしたが、その内容をもう少し具体的にお答えください。 295 ◯濱田水産振興課長 マコガレイの生態について、近隣県の大分県、山口県、愛媛県と共同で調査をしましたところ、福岡県沿岸域の砂地が周防灘における重要な産卵場であり、ここで生まれた稚魚は大分県などの沿岸域にある藻場で幼少期を過ごし、成長とともに沖合に移動することが分かりました。そのため、福岡県沿岸域には覆砂による産卵場の整備を、大分県沿岸域などでは藻場造成を実施するなど、関係県と連携をした広域的な漁場整備を展開しております。 296 ◯西元 健委員 覆砂や魚礁の設置により漁場づくりを行っているということでしたが、平成二十九年当時のやり取りの中で、豊前海のように潮の流れが緩やかで波の穏やかな海では、漁場づくりに加え、漁場の環境をよくする取組も必要であるということでした。酸素不足の解消や底質改善のためには、適度に海をかき混ぜることが有効であるという回答があったと思います。そのうちの一つが台風だったりとかしたと思っているんですけれども。  そういった意味では、豊前海で行われている小型底引き網漁業は、太いロープやチェーンのついた大きな縄を海底につけ、それを漁船で引っ張ることから必然的に海底を混ぜることとなり、底質の改善につながってくると思っております。  しかしながら、豊前海の中でも、岸に近い沿岸域は底引き網漁業が禁止となっているため、底質の悪化が懸念されていることから、県としてどのように考えているかということを問うたところ、平成二十九年度から沿岸域の底質状況について調査を行うという答弁がありました。  そこでお伺いいたしますが、平成二十九年以降、豊前海沿岸域の底質調査を行ったのか。また、行ったのであれば、その結果、どうであったのか、お答えください。 297 ◯濱田水産振興課長 平成二十九年度から平成三十年度にかけ、豊前海沿岸域の底質調査を実施いたしました。その結果、小型底引き網の漁場である沖合域と比較し、禁止区域である沿岸域におきましては、底質が悪化しており、魚の餌となるゴカイなどの生物が不足していることが判明いたしました。 298 ◯西元 健委員 当時、私は、このような調査は当然必要であるけれども、その結果とともに、当然事業として結びつけていくべきであり、しっかりと対応するよう要望いたしましたが、どのような事業に結びつけているのか。この検査結果を受けて、どのような事業に結びつけてきたのか、お答えください。 299 ◯濱田水産振興課長 小型底引き網の禁止区域において、令和元年度から、小型底引き網の漁具を使用して海底をかき混ぜる海底耕うん事業に取り組んでおります。  具体的には、操業があまり盛んでない一月から二月にかけまして、豊前海区の小型底引き網漁業者を雇用し、禁止区域の海底を網でかき混ぜ、泥を飛ばすことにより、餌生物の生息環境を改善する、それとともに、入藻する海底ごみの除去を行っております。  昨年度は、事業費約五千万円をかけ、地元小型底引き網漁船延べ約四百隻を使って、禁止区域内の約二十平方キロメートルを耕うんいたしました。取組の効果につきましては、現在調査中でありますが、今後、ゴカイなど海底に住む生物や、それを餌とする魚介類が増えるというふうに見込んでおります。 300 ◯西元 健委員 今の回答で、漁場づくりがしっかり行われているということは分かりましたが、一方で、整備した場所に魚介類が増えているのかということが非常に大切なことであろうかと思います。  近年、健康志向の高まりから、海藻のアカモクの需要が全国的に増えているとテレビなどで目にします。豊前海においても、一部の漁場でアカモクの加工販売に取り組んでおりますが、漁業者に聞きますと、消費者からの需要は非常に高く、毎年在庫がなくなるほどでありながら、豊前海にはアカモクの生息に適した岩場が少なく、需要に応えるだけの供給ができない状況だと聞いております。もしかすると、これだけ人気があるアカモクは、安定供給さえできれば、豊前海の新たな地域特産になる可能性を秘めているのではないかと考えます。  そこで、お伺いいたします。豊前海のアカモクについて、どのような取組を行っているのかお答えください。 301 ◯濱田水産振興課長 県では、アカモク資源を増やす取組としまして、アカモクが減った漁場や、投石により新たにつくった漁場に対しまして、成熟したアカモクを投入する試験を行いました。その結果、石の表面にアカモクの種が根づき、一年後には天然漁場と同等の密度で収穫できるサイズにまで成長いたしました。  また、将来にわたりアカモク資源を維持できるように、漁獲方法の試験を行ったところ、収穫時に資源を約三割利用し、七割残しておくということで、持続的に利用することが確認されました。  このような取組により、アカモクを安定して供給することが、地域活性化のための新たな起爆剤になると期待をしております。 302 ◯西元 健委員 アカモクが新たな豊前海の特産品となるよう、また、漁業者の経営安定につながるよう、アカモクの資源づくりの取組、ぜひとも、今後も継続して、また拡大していただくことをお願いします。  次に、水産物の販売についてお聞きします。  ただいまアカモクの答弁にもありましたが、うみてらす豊前など、水産物直売場は、地元の旬の魚を、来て、見て、買って、食べてという、地域の活性化のために非常に重要な施設ではありますが、これはお客さんが来るのを待っているというか、どちらかというと来てもらうという待ちの販売と言えるんじゃないかなというふうに思っています。  一方で、先日、福岡の魚フェアを特集していました雑誌「ソワニエ」に、福岡市内の飲食店めんちゃんこ亭では、豊前海のハモのだしを加えた新たな商品を開発したという記事が載っていました。  この記事を見て思ったんですが、生産者が飲食店など、市場のニーズに対応した商品づくりを積極的に販売していく、自分から待っているんじゃなくて、いわば攻めの販売を考えていくことも並行してやっていくことが必要なのではないかなと思っております。  そこで、お伺いいたしますが、今言ったような攻めの販売について、県として何か取り組んでいくことはあるのかお答えください。 303 ◯濱田水産振興課長 豊前海では、近年、漁獲量が増加しているハモについて、県内外の飲食店などでは、骨切り処理に対する需要が高かったことから、新たな商品として、骨切り処理済みの一次加工品を開発しました。その際、必要な骨切り機の整備についても支援したところです。  また、委員から御紹介いただきました、めんちゃんこ亭のハモだしは、加工の過程でできる骨を有効活用できないか検討した結果、今年度実施する福岡の魚フェアの目玉の一つとして、県が地元と飲食店をマッチングしたものであります。 304 ◯西元 健委員 ぜひ、そういった攻めの取組も続けていただきたいなと思っております。  最後になりますけれども、今までのやり取りを聞いて、豊前海の水産振興について、農林水産部長の力強い決意を伺いたいと思います。 305 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 306 ◯鐘江農林水産部長 豊前海は、委員の冒頭に申されましたけれども、年間を通じて魅力的な水産物が漁獲される豊かな海でありまして、これらの水産物、その資源を活用し、豊前・京築地域の活性化につなげていく、このことが何よりも重要だと考えております。  このため、漁場づくり、資源づくりを計画的に進めるとともに、直売所等による販売対策にも積極的に取り組んでまいったところでございます。  県としましては、引き続きこれらの取組を進めてまいりますとともに、委員御指摘の攻めの販売、加工品の開発などにつきましても、しっかりと取り組みまして、豊前海の水産振興、そしてこれが地域の活性化につながるように努めてまいりたいと思っております。 307 ◯西元 健委員 部長からの御答弁いただきました。  本当に部長はじめ職員の皆さんには、一次産業だったり漁業者に対する努力を非常に力強く続けていただいていると感じております。しかしながら、僕たちのところで言いますと、一次産業は結構、基幹産業だったりするもので、農業だったり、漁業だったり、林業も含めて、この政策をしっかりすることによって、やはり最初に冒頭申したように、人口が減っている私たちの地域に戻ってくる人、また、こういった一次産業を仕事にしたいという人が増えてくることは、人口減少対策にもつながっていくと思います。  やはり、この問題というのは小川知事にしっかりと問いただして、そして本気で取り組んでいただきたいと思っておりますので、委員長、知事保留のお取り計らいをよろしくお願いします。 308 ◯栗原 渉委員長 ただいま、西元委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は、十月十二日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
    309 ◯西元 健委員 終わります。(拍手) 310 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。笠和彦委員。 311 ◯笠 和彦委員 自民党県議団、笠和彦です。  通告に従い、コロナ禍における福岡県産農林水産物の販売促進についてお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染症の拡大による百貨店での福岡物産展の開催中止、飲食店の休業などの影響を受け、福岡県産農林水産物や加工食品などの需要が大きく減少しており、県内の農林業者や中小企業は窮地に立たされております。  先日開催した自民党農政懇話会においても、農林水産関係団体から、コロナ禍で需要が減退している県産農林水産物の、より一層の販売促進について要請がなされているところです。  農林水産部では、四月補正予算において、最大三割引きで県産農林水産物などをネットで販売する福岡県ウェブ物産展を実施されております。これは、コロナ禍で影響を受けた県産農林水産物の需要を喚起するとともに、県民の皆様に、福岡県が誇る農林水産物を味わっていただくよい機会であると考えております。  そこで、お尋ねします。農林水産物を販売するウェブ物産展の現在の売上状況や今後の取組についてお答えください。 312 ◯栗原 渉委員長 吉田福岡の食販売促進課長。 313 ◯吉田福岡の食販売促進課長 本年九月末現在で、目標の一億円に対し約七千二百万円の売上げとなっております。これまでの販売品目百十七商品の中で、博多和牛のヒレステーキや、県産の生乳を使ったアイスクリーム、ガーベラなどが売上げ上位となっております。  今後は、需要の低下が懸念され、これから本格出荷のシーズンを迎える秋王、甘うぃ、そして、あまおうやシクラメンなどを順次追加し、積極的に販売拡大を図ってまいります。 314 ◯笠 和彦委員 オンラインによる消費者への販売については、このコロナ禍において重要な販売ツールであると思っており、しっかりと対応していただきたいと思っております。  しかしながら、このコロナ禍で外食を控える傾向は続いており、和牛や地どり、魚などは大幅に消費が低迷していることから、国では、これらを学校給食に提供する際の助成について予算措置しました。  福岡県でも、この事業が活用され、学校給食に和牛などのメニューが提供され、子供たちは大喜びだったとのことです。学校給食への県産農林水産物の導入は食育の観点からも重要であり、福岡県では、以前から米やノリなどの導入に支援を行っていると聞いております。  そこで、まず国の事業の中で、福岡県における活用状況についてお伺いいたします。また、福岡県独自事業の実施状況についても併せてお伺いいたします。 315 ◯栗原 渉委員長 浦食の安全・地産地消課長。 316 ◯浦食の安全・地産地消課長 国の事業による、博多和牛、はかた地どり、ブリなどの学校給食への導入につきましては、県内小中学校の八割を占める約千校から要望があり、博多和牛とブリでは七月から、はかた地どりは十一月から提供予定となっております。  また、県独自事業につきましては、これまで行ってきた県産米の元気つくしや夢つくし、福岡有明のりに加え、昨年度から、甘うぃ、はかた一番どりについても導入を支援しているところです。 317 ◯笠 和彦委員 子供の頃から福岡県産農林水産物のおいしさに親しんでもらうことは重要であり、将来の消費にもつながることが期待できます。引き続き、学校給食への県産農林水産物の導入促進にしっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、主に飲食店で利用される高級魚、中でも魚の生けづくりなど、家ではなかなか調理できないメニューも多い水産物についても、需要が減少しており、魚離れが指摘されております。これにより、漁業者の経営にさらに大きな影響を与えているのではないでしょうか。  コロナの影響を受ける前と後で、水産物の価格にどのような変化が見られているのか、お答えください。 318 ◯栗原 渉委員長 濱田水産振興課長。 319 ◯濱田水産振興課長 水産物では、飲食店などにおける活魚などの需要が減少しており、マダイやケンサキイカなどの価格が、昨年同時期と比較し、二、三割ほど低下しております。一方、スーパーなどの量販店における、主に家庭向けの魚や加工品の需要は多く、今のところコロナの影響は見られておりません。 320 ◯笠 和彦委員 コロナ禍で漁業者の経営を安定させるためには、活魚を多く使っている飲食店での消費を伸ばす対策が必要ではないかと考えますが、何か対応されているかお答えください。 321 ◯濱田水産振興課長 飲食店での消費を拡大するため、県産水産物を積極的に取り扱う、ふくおかの地魚応援の店を活用した、ふくおかの魚フェアを九月十日から開催いたしております。  フェアの開催に際しまして、情報誌で、そのフェアやふくおかの地魚応援の店百二十店舗を紹介する冊子を発刊するなど、より多くの皆様に来店していただき、県産水産物のおいしさを味わっていただく取組を行っております。 322 ◯笠 和彦委員 紹介冊子は私も拝見しましたが、各店舗の料理に加え、魚を取る人、料理を作る人の写真までもが多く掲載されており、大変すばらしい冊子でした。県内の飲食店を対象とした水産物の販売促進について、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。  また、私の地元の伊崎漁港で開催される夕市に行きますと、博多湾で取れたアワビやエビ、イカ、ヒラメなど、多くの魚介類が販売されており、大都市福岡に囲まれた博多湾の意外な豊かさに驚かされます。  先週の土曜日、コロナの影響で自粛していた夕市もやっと再開され、私も伺いましたが、用意した魚があっという間に売れていきました。大都市に隣接した地の利のよさを痛感いたします。  博多湾で水揚げされる様々な魚種を対象に、例えば、博多ブランドとして地産地消に取り組むことは、コロナ禍においても強みにつながり、大変有益であると考えますが、福岡県としてどのように考えてあるのかお答えください。 323 ◯濱田水産振興課長 福岡湾で水揚げされた水産物を隣接する大都市福岡で消費することは、消費者にとっては、地元の新鮮な魚を購入できること、また、漁業者にとっては、輸送コストがかからず、鮮度がよいため、高単価で販売できるメリットがあることから、有効であると考えております。  県では、博多湾の水産物の豊富さ、新鮮さを市民の皆様に伝えるため、伊崎の夕市や旬の魚の情報などについても、情報誌へ特集記事を掲載するとともに、県のホームページ、じざかなび福岡で発信しております。  さらに、より新鮮な魚介類を提供できるよう、活魚水槽などの施設整備に対し支援を行っているところでございます。  このような取組を継続し、福岡湾で水揚げされた魚介類が、地元の方々に身近に、より多く消費いただけるよう努めてまいります。 324 ◯笠 和彦委員 博多湾で取れる水産物の地産地消については、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  農林水産部では、県内だけでなく、首都圏や関西圏のレストランやホテルなどで、県産農林水産物を使った福岡フェアを開催し、これまで消費拡大、販売促進を実施していると聞いておりますが、東京では、コロナが猛威を振るっている中、今年度の福岡フェア開催状況はどのような状況なのか、お伺いいたします。 325 ◯吉田福岡の食販売促進課長 今年度は、九月末時点で十三店舗で開催されております。昨年度は、同月末までに二百八十二店舗で開催されていましたが、ほとんどの外食事業者がコロナの影響でフェアの開催を見送っている状況です。 326 ◯笠 和彦委員 今後、首都圏や関西圏での販売拡大をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 327 ◯吉田福岡の食販売促進課長 福岡フェアの開催は、外食事業者が、今まで使用していなかった県産食材を一定期間使っていただくだけでなく、その後の継続使用にもつながる可能性も高く、非常に効果的であると考えております。全国的にGoToEatの飲食店オンライン予約のポイント付与事業が開始され、東京においては、GoToトラベルの対象地域に加わるなど、経済活動も段階的に回復しております。  このような中、本県では、他県に先駆け、首都圏や関西圏の外食事業者に対して、サンプル提供や輸送費を支援することで、福岡フェアの開催を強く促進し、県産農林水産物の販売拡大を図ることとしております。 328 ◯笠 和彦委員 農林漁業者の方は、コロナ禍という厳しい状況にあっても、農林水産物の生産を続け、福岡県内外の皆様においしいものを届けようと懸命に努力されております。引き続き、福岡県としても、先ほど中牟田委員の答弁にありましたように、生産振興対策を進めるとともに、販売促進、消費拡大を図るための取組も積極的に行うべきだと考えます。  そこで、最後に、コロナ禍における福岡県産農林水産物の販売促進、消費拡大について、部長の力強い意見をお聞かせいただきたいと思います。 329 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 330 ◯鐘江農林水産部長 委員からも御指摘いただきましたが、このコロナ禍によりまして、農林漁業者は、経営の混乱そして損失はもとより先行きの不安に直面されております。そうした中にあっても、それぞれの経営が縮小されることなく継続されることが大事でございまして、県産農林水産物の販売促進、そして消費拡大対策は大変重要な取組であると考えております。  このため、これまで各課長が申し上げましたとおり、ウェブ物産展での販売を引き続き積極的に進めるとともに、福岡の魚フェア、それから首都圏等での福岡フェアの開催を一層促進するほか、関係団体と一体となりまして、ウェブを活用した商談も進めてまいります。また、学校給食への導入促進、水産物の地産地消の取組も進めてまいります。  こうした取組によりまして、コロナ禍における、販売促進、消費拡大をしっかり進めてまいる考えでございます。 331 ◯笠 和彦委員 しっかりと部長の答弁をいただきました。  農林漁業者の方々は、このコロナ禍の影響で大変苦労しております。来年度予算の確保についても、よろしくお願いいたし、質問を終わります。(拍手) 332 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 333 ◯栗原 渉委員長 ないようですので、以上で、井上順吾委員、中牟田委員、西元委員の知事保留質疑を残しまして、第一三二号議案の質疑を終わります。  次に、第一三九号議案「令和元年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算」、第一四〇号議案「令和元年度福岡県県営林造成事業特別会計決算」、第一四一号議案「令和元年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算」及び第一四二号議案「令和元年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算」の四件については一括議題とし、まとめて説明を受けます。鐘江農林水産部長。 334 ◯鐘江農林水産部長 農林水産部所管の四つの特別会計の歳入歳出決算について御説明をいたします。歳入歳出決算概要説明書の百八十一ページをお開き願います。  第一三九号議案、令和元年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算について御説明をいたします。この特別会計は、農業経営を開始するために貸し付けた資金の管理回収を行うものでございます。  歳入につきましては、収入済額七千五百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により、貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。  次の百八十二ページに参りまして、歳出につきましては決算額六千五百万円余でございます。これは、就農支援資金の償還に要した経費でございます。  次の百八十三ページをお願いいたします。第一四〇号議案、令和元年度福岡県県営林造成事業特別会計決算について御説明をいたします。この特別会計は、県有林、県行造林の経営を行うものでございます。歳入につきましては、収入済額三億二千九百万円余でございます。  百八十四ページに参りまして、歳出につきましては、決算額三億二千九百万円余でございます。これは県営林の管理等に要した経費でございます。  百八十五ページをお願いいたします。第一四一号議案、令和元年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算につきまして御説明をいたします。この特別会計は、林業従事者等に対する資金の貸付けを行うものでございます。歳入につきましては、収入済額一億一千六百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により、貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。  次の百八十六ページに参りまして、歳出につきましては、決算額四百万円余でございます。これは、林業改善資金の貸付け等に要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。  次の百八十七ページをお願いいたします。第一四二号議案、令和元年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、沿岸漁業従事者に対する資金の貸付けを行うものでございます。歳入につきましては、収入済額一億九千百万円余でございます。その下、歳出につきましては、決算額六千三百万円余でございます。これは沿岸漁業改善資金の償還等に要した経費でございます。不用額につきましては、次の百八十八ページに参りまして、その主な理由は資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。  以上で、農林水産部所管分の特別会計についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 335 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 336 ◯栗原 渉委員長 質疑がないようですので、第一三九号議案外三件の質疑を終了し、農林水産部所管分の審査を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日の委員会は午前十一時に開き、商工部、企業局、県土整備部及び建築都市部の所管分の審査を行いますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午 後 四 時 三 十 八 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...